家づくりのご相談の際に、「最近の金利上昇が心配で、住宅ローンを組むタイミングが分からない」「固定にすべき? 変動にすべき?」との声をお聞きします。そこで、本日発表された各金融機関の7月の住宅ローンの金利動向や長期金利や日銀の政策動向を踏まえて、今後の見通しをわかりやすくお伝えします。
固定金利タイプが軒並み利下げに
7月の住宅ローン金利では、長期固定型や固定期間選択型で0.05~0.1%の利下げが見られました。背景にあるのは、6月末にかけて長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)が1.5%台後半から1.4%台前半へ下がったことです。
中でも、全期間固定型の代表である「フラット35(返済期間20年超)」は、前月から0.05%引き下げられて1.84%に。これは、この数年の利上げ局面に関わらず2023年ころの水準となっており、民間の金融機関の長期固定金利タイプに比べて割安感があります。
変動金利は据え置きも、一部で動きあり
変動金利タイプは、日銀の政策金利が据え置きであるため、大手銀行を中心に横ばいが続いています。ただし、ネット銀行では下記のように異なる動きも見られます。
- SBI新生銀行:2025年9月末までの申込、2026年3月末までの実行という条件で、変動金利0.59% のキャンペーンをスタート
- 楽天銀行:変動金利が0.001%引き上げられ、1.005%に
一見わずかな差でも、返済総額では無視できない金額差につながります。
今後の金利動向は? 変動型も固定型も要注意
日銀の政策金利は現在据え置かれていますが、2025年後半に追加利上げの可能性があるとの見方もあります。これにより、変動金利タイプも年末にかけて引き上げが起きる可能性があります。
一方、固定金利タイプに影響する長期金利は足元では下がっていますが、中長期的には1.5~2.0%への上昇が想定されており、油断は禁物です。中には、2026年に向けて利上げ圧力が高まるとの予測もあります。
金利上昇リスクに備えるなら「申込時適用」や「着工時実行」も検討を
これから家づくりを始める方にとって、住宅ローンの実行時点に金利が確定する住宅ローン商品は金利上昇リスクになり得ます。特に注文住宅は契約から完成までに時間がかかるため、その間に金利が上昇してしまうケースも。
そこで注目したいのが以下のような金融機関です。
- 申込時点の金利を適用する金融機関
- 建物完成時ではなく、着工時にローン実行が可能な金融機関
これらをうまく活用すれば、今の比較的低い金利を“ロック”することができるのです。
まとめ:金利が落ち着いている「今」が計画の好機かも
2025年7月時点では、固定金利タイプの利下げを含め、金利環境は一時的に安定しています。いまのタイミングで住宅ローンを借りる人にとっては、悪くないタイミングと言えます。
ただし、今年後半から来年にかけては、日銀の追加利上げや長期金利の上昇が見込まれるため、住宅ローン金利も再び上昇する可能性が高い状況です。これから住宅購入や家づくりを検討されている方は、以下の点を意識しましょう。
- 事前審査を済ませておく
- 金利が確定するタイミングに注意してローンを選ぶ
- 今の金利を活かせる「着工時実行型ローン」なども検討する
金利の小さな違いが将来の返済額に大きく影響します。迷ったときは、家計とマイホーム相談室にご相談ください。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
マイホーム購入前に、中立な第三者にご相談を!
名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□