住宅ローン 住宅ローン金利は「年末にかけてどう動く?」~日米金融政策から読み解く2025年11月の最新動向~

11月に入り、そろそろ年末に向けて慌ただしい季節ですね。2026年にマイホームを購入しようという方にとっては、家づくりのよいスタートを切るための大事な準備期でもあります。

ただ、気になるのは最近の住宅ローン金利の動き。つい先週、日米それぞれの中央銀行が金融政策を発表しました。これらを踏まえると、今後の住宅ローン金利には見逃せない“潮目の変化”が見えてきます。そうした点も含めて、本日発表の各金融機関の金利動向を整理していきます。

 


変動金利タイプ:据え置きの一方で「じわじわ利上げ」の兆し


日銀は10月30日の会合で政策金利を0.5%で据え置きました。一方で、副議長や複数の政策委員が「0.75%へ利上げすべき」と意見したことから、内部では利上げを意識した議論が進んでいることが分かります。この動きを先取りする形で、先月のみずほ銀行・SBI新生銀行に続き、今月はソニー銀行・楽天銀行変動金利タイプの利上げに踏み切りました。つまり、「日銀はまだ動かないが、民間金融機関は動き始めている」状態です。

ここで大切なのは、変動金利タイプは“上がる時は数か月遅れて一気に来る”という点。有力視されているとおり年内(12月)に日銀が政策金利の引上げを行えば、年明けの2~3月にかけて変動金利が上がる可能性があります。「いまの低金利は“永遠ではない”」。ネット銀行の先行動向は、その“兆し”と言えそうです。

 


固定金利期間選択タイプ:長期金利の一服感で“まちまち”


固定金利期間選択タイプ全期間固定金利タイプでは、+0.1%前後の利上げを行った金融機関が多い一方、長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)が1.6%台で推移しているため、わずかに利下げした金融機関もあり、全体としては小幅な動きにとどまりました。

ポイントは米国の動き。FRBは10月29日に政策金利を0.25ポイント引き下げ(年3.75~4.00%)ました。ただしパウエル議長は「次回(12月)の利下げは確定ではない」と慎重姿勢を示しています。米国の利下げは世界的に長期金利の低下圧力となり得るため、日本でも長期固定の上昇がいったん止まる、あるいはやや下がる可能性があります。

 


フラット35の動向:優遇制度でさらに割安に


全期間固定金利タイプ(固定金利タイプ)の代表格「フラット35(返済期間20年以上)」は、今月1.90%(前月比+0.01%)とわずかな上昇にとどまりました。フラット35Sや子育てプラスを利用すれば、当初5年間は合計1.0%の優遇で0.90%前後まで下げられるケースもあり、民間の全期間固定(2%台後半~3%程度)と比べて相対的な割安感が一段と強まっています。

建築・不動産の現場を長年見てきた立場としては、「使える制度や優遇をどう組いかに活かすか」が住宅ローン選びや住宅取得の分かれ道。“固定は安心”“変動は得”と思い込まず、フラット35Sや子育てプラスといった制度の活用余地を早めに確認することが、長期的な家計防衛になります。

 


今後の見通し:日米の“ねじれ”が方向性を左右


今後の金利動向を読むうえで重要なのが、日米の金融政策のねじれです。

  • 米国:利下げモード入り(ただしペースは慎重)
  • 日本:利上げのタイミングをうかがう段階

このねじれで円安傾向が続いており、今後も円安が進めば、日銀が為替防衛のため利上げに動く可能性もあります。つまり、

  • 米国の利下げ → 日本の長期金利(10年国債利回り)は一時的に下がる余地
  • 日本の利上げ変動金利タイプじわじわ上昇

という二重構造になり得る、ということです。

特に注目は12月の日銀会合賃金上昇が確認されれば、いよいよ利上げの可能性も高まります。そうなると、2026年にかけて変動金利タイプが後追いで上昇という展開も考えられます。

 


まとめ:これから住宅を購入する方に伝えたい3つの行動ポイント


  1. 「いつ実行するか」まで計画する
    住宅ローンの金利は申込み時ではなく実行時に決まります。建築スケジュール(契約→着工→完成→引渡し)を踏まえ、実行時点の金利を見据えて逆算しましょう。
  2. 「ライフプラン(キャッシュフロー表)」で将来の金利上昇に備える
    金利が+0.5%上がった場合、月々返済がいくら増えるか。家計の体力をライフプランで可視化しておきましょう。
  3. 「制度優遇」と「固定・変動の組み合わせ」を活用する
    フラット35S・子育てプラスなどの優遇や、ミックスローン(変動+固定)で、上昇リスクを抑えつつ低金利を活かす設計が可能です。

将来の金利は誰にも分かりません。大切なのは、どのように変化しても対応できる家計にしておくこと。「家計とマイホーム相談室」では、金利動向×ライフプラン×建築スケジュールを総合した住宅ローン戦略の個別相談を行っています。「今のうちに借りるべき?」「変動と固定、どちらが我が家に合う?」――迷ったら、まずはご相談ください。家づくりは“準備力”。金利が動く前に、あなたの家計を守る準備を。

 

 

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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー

家計とマイホーム相談室 草野芳史

https://my-home-fp.com/

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