住宅会社選び “坪単価はいくら?”で分かる、住宅会社の見極め方

お盆ですね。暑い日が続きますが、皆さまはいかがお過ごしですか? 草野も昨日までお盆休みで、家族で過ごしていました。遠出もしなかったので、ちょうど進行中の草野家の家づくりの打合せや新居の家具・家電選びなども進みました。一転、今日と明日の二日間はハウジングセンターでの家づくり相談会やモデルハウス見学ツアーの講師で、本日は7組のご相談(相談会の後、さらに家計とマイホーム相談室のお客様のご相談を受けたので、合計8組)をお受けしました。

 

そのご相談の中で出たのが、「どのハウスメーカーが安いの?」とか「坪単価はいくらくらい?」というご質問。このご質問、こういったハウジングセンターでのご相談でよく出てきます。以前、当コラムでも書きましたが、間取りや仕様によって金額は変わるので、一概に「この会社が安い」とか「建物の坪単価はいくらです」とは言えません。また、住宅会社によって坪単価に対するスタンスも違います。そのスタンスの違いによって、その住宅会社の商品の特徴や家づくりに対する考え方が分かりますので、本日のブログで解説してみます。

 

 


◆目次◆

1.建物の“坪単価”とは

2.坪単価を訊いたときの住宅会社の反応

3.“坪単価”から分かる、住宅会社の家づくりへのスタンス

4.“坪単価”へのスタンスから住宅会社を見極める


 


1.建物の“坪単価”とは


建物の坪単価とは、「建築費用を延床面積で割って算出した、ひと坪あたりの建築費用」のこと。例えば、延床面積40坪の建物を2000万円で建築した場合、坪単価は2000万円÷40坪=50万円/坪となります。ただ、同じ延べ床面積でも、使う設備や仕上げ材のグレードによって坪単価は変わりますし、建物の形が複雑になるほど単価も上がります。また、建物の面積が大きくなるほどスケールメリットが出るので坪単価は下がる傾向になります。

 

また、坪単価の計算方法には明確な決まりは無く、住宅会社によって坪単価に含む建物価格にはどこまで含むのか(地盤改良や水道引き込みといった付帯工事など)や、延床面積はどのように算出するのか(吹抜けやポーチなどをどこまで含むのか)を確認しましょう。一般的には、坪単価に含む建築工事は「本体工事」を指し、「付帯工事」は含まないことが多いですが、設備関係をオプション扱いにして建物本体から外して付帯工事にしたり、現場管理費とか諸経費という項目を本体工事と別に計上することで、建築費用を表向き下げることができます。延床面積についても、吹抜けや玄関ポーチ、小屋裏やロフトなども入れると、結構面積を水増しできます。本来40坪の面積を2000万円で建てていても、建築費用を1800万円に表向き下げ、延床面積を45坪に水増ししたら、坪単価は40万円まで下げることができてしまうのです。

 

これらの点からも坪単価は目安程度に考え、坪単価を比較するときには、ちゃんとその中身を住宅会社に確認するようにしましょう。

 

 


2.坪単価を訊いたときの住宅会社の反応


「御社の坪単価はいくらくらいですか?」と質問した時の回答は、住宅会社によって大きく3通りに分かれます。1つ目は、そのものズバリ、「弊社の建物の坪単価は、○○シリーズなら坪45万円、△△シリーズなら坪50万円、最上級の□□シリーズなら坪55万円」といった「坪単価○○万円」といった回答が返ってくるケースです。

 

二つ目は、「建てる建物の間取りや形状によって坪単価は変わりますが、敢えて言うと弊社の坪単価は平均的に○○万円程度です」などと、注釈付きで回答が返ってくるケースです。

 

最後の三つ目は、「弊社の建物は一棟一棟間取りも使っている設備や仕上げも違うので、坪単価いくらという金額は計算していません(公表していません)」などと、坪単価を教えてくれないケースです。

 

このように、住宅会社によって「坪単価はいくら?」に対する回答は3通りに分けられますが、どのような回答をするかが、その住宅会社の家づくりに対するスタンスを見極める材料になります。

 

 


3.“坪単価”から分かる、住宅会社の家づくりへのスタンス


注文住宅を建てる住宅会社にも、いくつか種類というか傾向があります。たとえば大手ハウスメーカーのように高級路線で「フルオーダー」、すなわち文字通りの注文住宅を志向する会社から、お手頃価格の住宅を供給するローコスト系の住宅会社まで幅があります。

 

先に挙げた坪単価に対する回答を当てはめると、1つ目のズバリ「坪単価○○万円」との回答が返ってくるのが、ローコスト系の住宅会社です。ローコスト系の住宅会社の建物は、コストを下げるために様々な企業努力をしています。例えば、できるだけ住宅設備機器や仕上げ材を大量に発注してコストを下げるために極力オプションの種類を少なくするとか、打合せの手間を省力化するために間取りをプラン集から選ぶなんてことさえあります。このように商品内容を規格化することで、金額についても一つずつ積み上げて積算せずに「坪単価×面積」で簡単に出せてしまうという訳です。つまり、ズバリ「坪単価○○万円」と言ってくる住宅会社は、注文住宅を建てると言っていてもフルオーダーではなく、言ってしまえば「間取りを選べる規格住宅」であり、会社の体制上、もしくは体質上、細かな注文をあまり受け付けてくれない可能性があります。

 

逆に3つ目の「坪単価を教えてくれない」住宅会社は提案力・デザイン力が売りでフルオーダーの住宅を得意としており、「何でもできますので、どんどんご希望を言って下さい」「お気に召すまで何度でもプランを描き直します」などと言ってくれたりします。少し似ていますが、2つ目の「注釈付きで坪単価が出てくる」のはセミオーダーの住宅会社で、オプションなどの選択肢は多いものの、ある程度制約のある大手ハウスメーカーが代表格と言ってよいでしょう。この2つ目と3つ目の住宅会社はかなり打合せに時間を割き、細かな要望にも応えてくれますが、凝れば凝るほど金額も上がることになり、契約後に予算が大幅に上がったというトラブルも散見されます。

 


4.“坪単価”へのスタンスから住宅会社を見極める


“坪単価”に対する住宅会社のスタンスを知れば、自分に合った住宅会社を選ぶ目安になります。各住宅会社ごとに向いている人を整理すると下記のようになります。

 

1.「坪単価○○万円」との回答が返ってくる住宅会社

・金額を早い段階で確定したい人

・コスト最優先

・建物へのこだわりが少ない人

 

2.注釈付きで坪単価が出てくる住宅会社

・ある程度、間取りや仕様にこだわりたい人

 

3.坪単価を教えてくれない住宅会社

・とことん間取りや仕様にこだわりたい人

・打合せに時間をかけられる人(じっくり打合せしたい人)

 

この組み合わせがミスマッチの場合、例えばとことん間取りや仕様にこだわりたいのに、1の「坪単価○○万円」と言ってくる住宅会社の値段の安さに惹かれて家づくりを頼んでも、とことんこだわりたいのにさっぱり対応してくれなく不満を募らせることになりかねません。「御社の坪単価はいくらですか?」という質問に対する答えでその住宅会社の家づくりに対するおおよそのスタンスを知ることができるので、ご自身の家づくりに対する要望・条件に合った住宅会社なのかどうかをよく見極めるようにして下さい。

 

 

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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー

家計とマイホーム相談室 草野芳史

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