家計資金計画 【続編】FPも見落としがち? ライフプランに入れるべき「臨時支出」7つのポイント

住宅購入を検討するとき、ライフプランやキャッシュフロー表を作成する方が増えています。わたくし草野のもとにも他のFPに作ってもらったり、中にはご自身で作成したライフプランをお持ちになるご相談者もいます。ただ、実際にそうしたライフプランを拝見してみると「想定外の出費」が抜け落ちているケースが少なくありません。

前回の記事でもお伝えしたように、ライフプランでは「物価上昇率」や「金利」「給与の伸び率」など、わずかな設定の違いで結果が大きく変わります。しかしそれとともに、生活の中で生じる“臨時支出”をどう織り込むかも、家計の安定を左右するポイントになります。単に「数字」だけでは分からないこれからの暮らしをどこまで読み解いてシミュレーションに反映させるのか、実際にいくつかご紹介してみます。

 


【1】車の維持費や買い替え費用を忘れていませんか?


家計の中で意外と大きな割合を占めるのが「車関連費用」。住宅ローンと同様、長期にわたり必ず発生する“固定支出”と考え、毎月のガソリン代や駐車場代だけでなく、下記のような出費も定期的に発生します。

  • 車検費用
  • 自動車保険・税金
  • タイヤ・バッテリー交換
  • 買い替え(約10年に一度の大出費!)

たとえば300万円の車を10年ごとに買い替えると、30年間で900万円の支出。もし車を2台持っているなら1800万円。地方都市では“車2台生活”が当たり前です。ここに、車検や自動車税、自動車保険などの維持費も加わります。これらの費用を見落とすと、ライフプランが大きく狂ってしまいます。

また、乗る車も家族の状況や趣味嗜好によって変わります。子どもが小さいうちは大人数やたくさんの荷物を載せられるミニバンでも、定年退職後は取り回しが良く維持費も抑えられる軽自動車になるかもしれません。そんな点もライフプランに盛り込んでおくと、よりリアルな家計が見えるでしょう。

 


【2】家電の買い替えラッシュは「マイホーム10年目」にやってくる


新居に入居して10年ほど経つと、家電と設備の寿命が同時にやってくるという現象が起きます。冷蔵庫・洗濯機・エアコン・給湯器…まるで“ドミノ倒し”のように次々壊れる。住宅現場を知っていると、このタイミングがどれほど家計を圧迫するか実感します。こうした「家電の買い替えラッシュ」は、不思議なことに多くのご家庭が経験します。

  • 大型家電(冷蔵庫・洗濯機・テレビなど):10年ごとに総額40〜60万円
  • 調理家電・パソコン・スマホ:随時発生

特に近年は家電の高機能化で単価が上がっており、昔の感覚のままだと予算不足に陥ります。「家電は10年保証が切れる頃に壊れる」と言われるほど。この現実をライフプランに入れておくだけで、将来の不安がぐっと減ります。

 


【3】リフォーム費用は“老後の住まい対策”でもある


新築時はピカピカでも、10年、20年と住み続けるうちに必ず建物のメンテナンスが必要になります。建築の現場では「住まいの耐久年数=メンテナンス次第」と言われます。たとえば必ずかかるものとしては

  • 外壁・屋根塗装(10~15年ごと)
  • 給湯器交換(10~12年)
  • 浴室・キッチンのリフォーム(20~25年)

等が挙げられ、さらに状況によっては床・壁・天井といった内装のやり替えや、場合によれば家族構成の変化に合わせて大きく間取りを変えることもあります。

これらの費用を都度ローンや貯金でまかなうのは大変です。ライフプラン作成時に「住まいの維持費」として定期的に見積もっておくと安心です。

 


【4】教育費以外の“子ども費用”こそリアルに見積もる


学費などの教育費はしっかり計上しても、「教育費以外の子ども費用」は意外と抜け落ちがちです。

  • 七五三、成人式、結婚式などのお祝い費用
  • 歯の矯正(1人あたり100万円前後)
  • 車の免許取得(20~30万円)
  • 将来の住宅取得援助

お祝いの費用は、各家庭の価値観が如実に表れるもの。例えば結婚時のお祝いは、数万円のご祝儀程度から数百万円というケースまで大きな差が出ます。「子どものために、これくらいのお金は出してあげたい」という思いがあるなら、それをしっかり計上しておきましょう。

また、最近増えている歯の矯正ですが、草野家でも子どもの歯の矯正で100万円ほどかかりました。全員が対象という訳ではありませんが、両親の歯並びが悪かったり矯正をしていたら、起こりうる支出として想定しておくのがプロのライフプランです。

 


【5】旅行や趣味など“人生を豊かにする費用”も見逃さない


ライフプランは「我慢するため」ではなく、「豊かに生きるため」の家計の将来予測地図です。節約するだけでは長続きしません。毎年の帰省や旅行、趣味や愉しさの臨時支出も、無理のない範囲で組み込みましょう。

  • 家族旅行(年10~20万円)
  • 帰省交通費(お盆・年末年始)
  • ゴルフや釣りなど趣味の道具更新

旅行も、行き先や日数、時期によって金額も大幅に変わります。頻繁に海外旅行に行くのは難しいかもしれませんが、人生のご褒美として海外旅行を奮発するのもアリでしょう。住宅ローンを払いながらも「楽しみ」を維持できるかどうか。余裕のある計画で“心のゆとり”を確保するのが真のライフプランと言っても良いでしょう。

 


【6】資格取得・自己投資も「未来の支出」


これからの時代、家計を守るだけでなく、収入を育てる発想が必要です。将来の転職や独立、副業のための資格取得など、スキルアップ・キャリアアップへの自己投資は支出ではなく“将来への布石”。

  • 資格講座・受験費用
  • パソコン・教材・オンライン講座費
  • セミナー・交流会参加費

「守りの家計」だけを前提にしたライフプランでは、未来が縮小してしまいます。“育てる家計”のための投資も忘れずに。

 


【7】ペットとの暮らしにも“ライフサイクルコスト”がある


草野家もそうですが、犬や猫を飼うご家庭も少なくありません。犬や猫を飼う場合、初期費用に加えて医療費・食費・トリミングなど、生涯で100万~200万円ほどかかることも珍しくありません。大型犬や熱帯魚など、エサ代や水槽・設備費などが高額になるペットもあります。小動物と比べて維持費の差が大きいため、飼う種類や頭数によって支出計画を変えることが大切です。

さらに、建築的にはペット共生住宅を希望するなら、床材や壁材、間取りの工夫にもコストがかかります。ライフプランを作成する際は、「家族の一員」としてペット費用も年ごとの支出に入れておくと安心です。

 


まとめ:臨時支出を見込んでこそ“本当の安心プラン”


ライフプランは、ただ数字を並べるだけでは意味がありません。「暮らしのリアリティ」をどう反映できるかが、安心の分かれ目です。

  • 車・家電・リフォームなどの定期支出
  • 教育費以外の子ども費用
  • 趣味・旅行・自己投資など“ゆとり費用”

こうした臨時支出を盛り込むことで、初めて「現実的で無理のない住宅予算」が見えてきます。住宅も家計も“長期戦”です。見えている部分だけで判断すると、後から必ずズレが出ます。

 


行動のヒント


これからライフプランを立てる方は、「臨時支出も含めたライフプラン(キャッシュフロー表)」を作ってみましょう。わたくし草野の「マイホーム予算診断」では、こうした臨時支出もすべて織り込んだ“実践的なライフプラン”を作成しています。机上のプランではなく、暮らしに根ざした住宅予算を知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー

家計とマイホーム相談室 草野芳史

https://my-home-fp.com/

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