住宅・不動産業界 住宅会社によって違う、ウッドショックの影響

昨日、愛犬・ふうちゃん(シーズー犬)の予防注射をしに動物病院にいったのですが、ここでもコロナ禍の影響がありました。待ち時間は車の中で待機ということもあったのですが、なんと犬用のワクチンがコロナ禍の影響でないというのです。どうもふうちゃんの打っているワクチンが海外から輸入しているのですが、製造国から輸出できないのだそう。違うワクチンを代わりに打ってもらいましたが、こんなところにもコロナ禍の影響があるのだとビックリしました。

 

かたや建築業界でのコロナ禍の影響というと、広く報道もされているウッドショックです。コロナ禍で流通が滞っているうえ、家にいる時間が増えたことで、アメリカや中国で住宅着工数の増加や景気回復により木材の需要が増えて木材が世界的に不足し、日本でも建築費用の高騰や工期の遅れといった影響が出ているというお話しです(風が吹けば桶屋が儲かる、みたいな話ですね)。以前も速報しましたが、その後住宅業界の人たちから聞いた話などをもとに、住宅会社ごとの影響を続報としてお伝えします。

 

 


◆目次◆

1.住宅会社による影響の程度

2.大手ハウスメーカー

3.国産材を使用している地元工務店

4.業歴の長い住宅会社

5.ローコスト系の住宅会社

6.業歴が短かかったり、急拡大中の住宅会社

7.建売分譲会社


 


1.住宅会社による影響の程度


まず、どこまで木材不足の影響が出ているのかというと、住宅会社によって温度差がけっこうあります。比較的影響を受けていない住宅会社としては、

・大手ハウスメーカー

・国産材を使用している地元工務店

・業歴の長い住宅会社

が挙げられます。

 

対して、かなり影響を受けている住宅会社は

・ローコスト系の住宅会社

・比較的新しかったり、この数年で規模を拡大している住宅会社

・建売分譲会社

といったところです。それぞれ個別に見ていきます。

 

 


2..大手ハウスメーカー


大手ハウスメーカーは、比較的今回のウッドショックの影響を受けていません。鉄骨造のメーカーが多いということもありますが、木造のハウスメーカーであっても、自社工場を抱えていたり、北米以外の独自のルートを持っている(東南アジアや北欧など)、スケールメリットによるバイイング・パワーで一定量の木材を確保しているなどです。ただ、大手ハウスメーカーでもやはりウッドショックの影響を受けて、着工が遅れているという会社もちらほら聞きます。

 

 


3.国産材を使用している地元工務店


工務店と一言でいってもいろいろですが、国産材、特にこだわって地元の木(東濃ヒノキとか)を使用している工務店については、現時点では供給量が変わらず、先回りしてある程度の木材を確保しているということもあり、あまり影響は出ていません。ただ、輸入材が減っていることで調達先を国産材に切り替える住宅会社が増えており、ウッドショックが長引けば今後は価格の高騰などの影響が出る可能性もあります。

 

 


4.業歴の長い住宅会社


業歴の長い住宅会社については、取引している材木の卸し会社が優先的に供給してくれており、比較的供給が安定しています。ただ、これもウッドショックが長引くと材料そのものが無くなるので、影響が徐々に出てくるでしょう。

 

 


5.ローコスト系の住宅会社


ローコスト系の住宅会社のローコストたる所以は、安価に入手できる材料に負うところも少なくありません。その典型であるホワイトウッドを構造材に使用していて、今回のウッドショックの影響をもろに受けている会社が少なくありません。こういった住宅会社では、すでに4月の時点で建築費用が上がっています。

 

 


6.業歴が短かかったり、急拡大中の住宅会社


比較的新しかったり、この数年で規模を拡大している住宅会社は、取引先の卸し会社との信頼関係も弱く、材木を供給してもらいにくくなっているようです。

 

 


7.建売分譲会社


建売だけでなくローコスト系の住宅会社にも当てはまりますが、徹底的なコスト削減のために安価な木材を使用しているため、ウッドショックの影響を受けています。また、代替品として国産材を採用しようにも、コスト増により販売への影響もあり、切り替えも難しいところ。かといって、借り入れをして土地を仕入れているケースが多いため、着工できないと資金繰りも悪化するため、悩ましいところでしょう。

 

 

といったところです。このウッドショックが短期間で終息すればよいのですが、コロナ禍という非常事態のため、先行きも見通せません。これまでの日本の林業軽視のツケが出たとも言え、政策的な対応も必要でしょう。着工できないため、職人の手も空いており、つい最近までの人手不足、職人不足がウソのような状況になりつつあります。

 

1年前のマスク不足が今ではすっかり解消されているように、供給側の努力によって木材不足が解消されたり、アメリカや中国の需要過多が落ち着く可能性も無くはありませんが、いまの時点では先行きは分かりません。ちょうど住宅ローン減税の控除期間13年間の駆け込み需要(注文住宅は今年9月末までの請負契約締結、建売住宅は11月末までの売買契約締結)もあり、まだ数か月間は木材不足が続くでしょう。いま家づくりをお考えの方は、必ず住宅会社に価格や工期を確認下さい。状況によっては、家づくりの時期を遅らせるという選択肢も検討が必要でしょう。

 

 

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家計とマイホーム相談室 草野芳史

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