前回の当コラムで「怪しい投資儲け話に飛びつかなくても、NISAやiDeCoといった優遇制度を使うだけでもだいぶ有利な運用ができます」と書きましたが、実際に最近はiDeCoやふるさと納税を利用する方も増えています。そんな方からよくあるご質問が「住宅ローン減税を使っている間は、iDeCoやふるさと納税をする意味(効果)はありますか? 」というもの。iDeCoやふるさと納税、住宅ローン減税は所得税や住民税の減税なので、そもそも複数の制度を併用できるのかや、併用できたとして効果があるのかは気になるところですよね。先日もやはりご質問いただき、以下のような返答をしました。
減税と言ってもいろいろな種類がありますが、今回関係する減税には、大きく
A.所得控除(iDeCo、ふるさと納税(所得税))
B.税額控除(住宅ローン減税、ふるさと納税(住民税))
の二つがあります。ご覧のように対象となる税金は所得税と住民税があり、さらに控除のやり方にも所得控除(税金を計算するもととなる所得額を下げる)と税額控除(税金そのものを下げる)があるため、なかなかややこしいことになっています。
これらの制度の減税のステップは、
1)給与などの収入から、経費や控除を差し引いて所得額を決める
→ここでの減税が、上記Aの所得控除(iDeCoやふるさと納税)
2)決まった所得額をもとに、納税額を決める
→ここでの減税が、上記Bの税額控除(住宅ローン減税)
の2段階となります。
このうちの1つ目のステップ=所得控除ですが、iDeCoは所得税・住民税それぞれで掛け金を控除(差し引き)し、ふるさと納税は所得税について所得控除されます。2つ目のステップでは、1つ目のステップで決まった所得額をもとに住宅ローン減税の額が決まり、住宅ローンの年末残高の1%を上限としてまずは納める所得税が控除され、そこで控除しきれなかった額について住民税額(13.65万円が上限)が控除されます。この際、住宅ローン減税の計算の元となる所得額が下がることで、住宅ローン減税の額が下がることがあります。
そういった事態をできるだけ抑える方法として、ふるさと納税で確定申告をせず、「ワンストップ特例制度」を利用することで、控除元の税金を所得税から住民税に振り替えることができます。住宅ローン減税ではまず所得税から控除し、そこで控除しきれない分を13.65万円を上限として住民税から控除します。それでも控除しきれない住民税を、ふるさと納税で控除するという訳です。
※ワンストップ特例制度には下記のような条件があります
・確定申告を行う必要がない給与所得者
・1年間に行うふるさと納税の寄付先(自治体)が5カ所以内
・住宅ローン減税の2年目以降(1年目は不可)
なかなかややこしいですが、結論としては住宅ローン減税とiDeCoやふるさと納税は併用できるしある程度の効果は期待できます。ただ、そもそも前提としては納税した税額以上は税金は戻ってきませんので、詳しい制度や具体的な税額等については、税務署や税理士にご確認下さい。
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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
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