2021年も残すところあと数日ということで、地元地銀の住宅ローン担当者が年末の挨拶にお越しになりました。近況報告や金利動向などの情報交換も行いましたが、特に「草野さんにぜひお伝えしたくてお伺いしました」というのが年明けから金利を引き下げるという情報。東海地方でもかなり出色な金利で、いいお話しをお聞きできました。
この金利に匹敵するのはネット銀行くらいかという水準。こう書くと「それならネット銀行の方が良いのでは?」という声も出るでしょう。また、最近は大手メガバンクでもネット申込み専用として低金利を売りにしている商品もあります。でも、草野は必ずしもこれらネットバンクやメガバンクのネット商品をお勧めしている訳ではありません。これらの商品の使い勝手が必ずしも良いとは言えず、総合的に見ると先に挙げたような地銀や信金の方が良いケースも少なくないからです。
例えば典型的なケースは、土地を購入して注文住宅を建てる場合。支払いが土地と建物と別れるだけでなく、一般的に建物施工中の中間金の支払いが必要なりますが、ネットバンクではつなぎ融資が無い等、土地や建物中間金の支払いが難しいのです。また、建物の中間金が融資される場合でも、土地の引渡時に建物を建てる住宅会社と工事請負契約を締結していなければいけなかったり、土地引渡しから建物完成までの期限が1年以内などと決められているケースもあります。銀行から見れば、建物が完成するまでは担保がない不安定な状態なのでこうした対応はある意味正しいことではありますが、そんなに杓子定規で対応されては困る人も少なくありません。それに対して地銀・信金なら、こういったケースでも柔軟に対応してくれることがよくあります。
ネット銀行が金利を下げられる一番の理由は店舗や人手などのコストを削減しているから。そのため杓子定規な対応にならざるを得ない訳です。逆に言うと、リアルの地銀・信金でも、今後はかかる手間の程度によって、金利などの条件が優遇されるようになるかもしれません。現在でも、借りる人の属性(年収や勤務先などの条件)によって金利の優遇が変わるのが一般的ですが、購入するのが建売住宅やマンションといった完成物件なのか、土地を買って注文住宅を建てるのかで融資の手間はかなり変わりますが、そういう点を勘案して建売住宅なら手間が省ける分金利を下げるといった発想も出てくるでしょう。新築分譲マンションでは「提携ローン」という形で通常よりも金利優遇が大きくなっているのも、同時に複数の案件を扱える、すなわち効率が良いからです。すでに住宅ローンは過当競争で、金利の引き下げや団体信用生命保険の上乗せなどやり尽くした感もありますが、まだまだサービスの可能性はあるのですね。
・・・といったお話しを、年末挨拶にお越しいただいた住宅ローン担当者としました。2021年は東海地方でも旧三重銀行と旧三十三銀行が合併したのに続き、愛知銀行と中京銀行でも経営統合されることが発表されました。2022年も銀行や住宅ローンはいろんな変化があることでしょう。と、年末らしく締めます。2021年もいろいろな方にお世話になりました。2022年もよろしくお願いいたします。
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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
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