住宅ローン減税の改正(改正内容はコチラを参照)が、まもなく召集される国会で決まります。基本的に減税が縮小されるのですが、各種報道やネットを見ると賛否両論です。草野も先日メディアから今回の改正について取材を受けました。そこでお伝えしたことも含め、草野なりの住宅ローン減税に対する考えをご紹介します。
今回の住宅ローン減税改正は、低金利で逆ザヤが発生したから。本来住宅ローン減税は、住宅ローンを組んで家を購入する人の利息負担を軽減するためのもの。それが、金利が下がったことで、負担する利息以上に税金が戻ってくるため、会計検査院が問題視したという訳です。なので、本来の目的から乖離しているので、それを是正するというのは正しいことでしょう。ただ、減税の縮小ということは、すなわち増税です。コロナ禍で経済が疲弊している時にむやみに増税するわけにいきません。そこで国もいろいろな配慮をしているので、それを2つ挙げてみます。
まず一つ目。「高所得者優遇から庶民に優しく」です。住宅ローン減税は、借入額が多いほど減税効果も高く、その効果を最大限生かせるのはたくさん税金を納めている高額所得者です(減税で戻ってくる額は、納税額が高いほど上がる)。例えば、住宅ローン減税の対象となる所得が3000万円から2000万円に引き下げられるほか、年間の控除額も下がり、そして控除率が1.0%から0.7%に下がります。ただ、所得がそれほど高くなく(納税額も高くない)、これまでも控除枠を使いきれなかったような人は、控除率が0.7%に下がっても影響が少なく、逆に減税期間が10年から13年に延びることで、人によっては減税額が上がるケースも出てきます。
二つ目は、「省エネ性能の高い建物を優遇」です。長期優良住宅を筆頭に、省エネなどの性能に合わせて減税の上限を変えています。これは省エネ基準を上げ、より性能の高い建物を優遇するという政策と合致しています(その代わり、制度が複雑で分かりにくくなってしまいましたが)。
と、草野はおおむね今回の改正を前向きに捉えていますが、一つ不可解なのは、中古住宅の扱いについて。国はここ数年「既存住宅の流通活性化」として瑕疵担保保険や宅建業法を改正してインスペクションの普及を図り、税制優遇や補助金なども拡充してきました。それが今回の住宅ローン減税の改正では、中古住宅は減税期間が10年と新築に比べて明らかに劣ってしまっています。正直なところ、ちょっと意図を図りかねます(もしかしたら住宅ローン減税とは別に、中古住宅向けの減税や補助制度を考えているのかもしれませんが)。
そんな点もありますが、今回の住宅ローン減税の改正はおおむね理に叶っていると思います。減税が縮小するのは、消費者の立場からすると残念ではありますが、その影響をあまり受けない人も少なくないと思いますので、いま家づくりを考えている人は、自分の年収と希望する建物の性能で、どれくらいの減税を受けられるか冷静に計算してみることをお勧めします。
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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
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