住宅ローン 最近の長期金利上昇・・・ 住宅ローンへの影響は?

前回の当ブログにて、住宅ローンの金利は短期プライムレートや
長期金利(10年モノ国債の利回り)の影響を受けるとご紹介しました。
そういう視点でいまの日本経済や市場を見てみると、
4月に行われた黒田日銀新総裁の“異次元金融緩和”の発表以降、
長期金利は乱高下を繰り返しながら上昇しています。
特に、“黒田ショック”が一段落した4月中旬以降、
0.6%程度で落ち着いたかと思っていたところ5月に入って急騰、
先週には0.868%を記録し、週明けの本日も0.845%と高い水準を維持。
これらの長期金利の動きが、住宅ローンの全期間固定タイプ
10年程度以上の固定金利期間選択タイプの金利動向に
どのような影響を与えているのか、気になるところ。
そこで、直近の住宅ローンの金利動向を見てみます。
まず、先行して翌月の金利を発表しているソニー銀行の金利。
6月の金利は10年固定で+0.286%、20年超で+0.107%と
大幅な利上げとなっています。
長期金利が現在の水準で推移すれば、
全国区のメガバンクや信託銀行を中心に、
来月も固定タイプの金利が上がる可能性もあります。
ただ、地銀・信金に関しては、
一概に金利が上がるとは言い切れません。
月初に金利を改定するメガバンクとは違い、
月の途中で金利を改定する地銀・信金の金利を見てみると、
名古屋近辺に本・支店のある12の金融機関では、
表向きの優遇金利には顕著な動きは見られませんでした。
0.05%程度利上げしている金融機関も一部ありましたが、
中には逆にキャンペーンで利下げしている金融機関もあるほどです。
0.8%台前半という現在の長期金利は今年の1月頃と同じ水準。
その頃の住宅ローンの金利と現在の水準を比べてみると、
ほぼ同じか、若干(0.05%)高い程度。
名古屋周辺の地銀・信金にとっては、
今の金利水準は許容範囲と言えそうです。
ただ、地銀・信金にとっても、
長期金利の上昇が全く影響ないワケではありません。
この数ヶ月間、10年固定タイプでは、条件次第で
1.10%という“ウラ金利”(実行金利)も出ていましたが、
さすがにそこまでの優遇は難しくなるかもしれません。
また、上記の数字は“名古屋金利”と呼ばれ、
全国的に見ても特に金利水準の低い名古屋近辺のデータですので、
他の地域では違った傾向が出る可能性もある点は、ご了承下さい。
どちらにしても長期金利の上昇は
株高によって投資資金が国債から株式に移っている影響と思われ、
円安株高が続く以上、同様の傾向が続くことも考えられます。
中期的に見れば、日銀が設定する景気回復の時期は2年後程度なので、
それまでは住宅ローンの金利が大幅に上がることは考えにくいところ。
でも、短期的には波があるでしょうし、いま行われているのは
前例の無い“異次元金融緩和”、何が起こるか分かりません。
ここしばらく、長期金利の動向からは目が離せませんね。

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