先週からこの週明けにかけ、マーケットがすごいことになっています。アメリカや日本などで株価が急落し、円が急騰しています。発端は7月31日(水)の日銀による政策金利の0.25%への引上げで、翌8月1日(木)の日経平均株価の終値が前日比975円安の3万8126円に下落したのを皮切りに、
8月2日(金) 3万5909円(歴代2位の2216円の下落)
8月5日(月) 3万1458円(過去最大の4451円の下落)
となりました。7月31日の終値3万9140円からは7602円の下落、史上最高を記録した7月11日の終値4万2224円からだと1万766円もの下落になっています。
合わせて円も急騰し、7月31日(水)の終値は1ドル149.88円だったところ、8月2日(金)の終値は146.42円、そして本日8月5日(月)には一時141.70円まで上がり、終値は142.49円となりました。7月に一時162円近くまで上がったことを考えれば、この1月ほどの間に1ドル20円も上がったことになります。さらに長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)も7月には1.1%程度まで上がっていたところ、0.75%まで下がりました。
なぜここまでの円高と株安になったかというと、
1)日銀の政策金利引上げ → 円高になると予測
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2)アメリカの雇用統計悪化 → アメリカFRBが利下げと予測
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3)日米の金利差縮小+円高で、アメリカの株価が下落
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4)日本などの株価も下落し、円がさらに急騰
といった流れになっています。さらに世界に目を向けると、中東情勢(イランとイスラエル)の緊迫化なども株価下落の要因になっています。
もともと先進国各国では景気の曲がり角ということで政策金利の引き下げの動きは出ており、9月にはアメリカFRBが政策金利の引き下げを行うと見られていましたが、このような想定以上の景気減速・株価急落のため、FRBは引き下げ幅が0.25%ではなく0.5%にするとか、9月を待たずに8月中に臨時で引き下げを行うといった予想も見られるようになりました。このような経済の混乱状況では、FRBが利下げしないという選択肢はなく、焦点となるのはどのていどの利下げになるかでしょう。
といった状況で、日本の住宅ローンにどのような影響がでるのかです。7月31日に日銀が政策金利0.25%への引上げを決めたため、9月にはネット銀行やメガバンクで変動金利の利上げの可能性がありました。これには大きな変化はないでしょう。ただ、早ければ年内にも政策金利の再引き上げがあると言われていましたが、この株価下落、そして急速な円高で、再度の政策金利の時期は来年以降にずれ込む可能性が出て(今回の政策金利引上げは、行き過ぎた円安ドル高を是正する狙いがあるとも言われていました)、短期間での変動金利タイプの利上げ圧力は弱まる可能性があります。ただ、中長期的には「金利のある世界」へ向けて金融政策を変更しているので、今後数年の間に政策金利の引上げと連動するように変動金利タイプは1%を超すような水準になる可能性は十分あり得ると思います。
政策金利に連動すると言われる変動金利タイプに対して、長期固定金利タイプの住宅ローンは長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)に連動すると言われます。長期金利はアベノミクスの異次元金融緩和では0.25%など低く抑えられていましたが、徐々に上限が引き上げられ、今年3月には長短金利操作が撤廃され、さらに利上げされる可能性がありました。ただ、今回のマーケットの動きにより日本とアメリカの金利差が縮まるため、長期の固定金利タイプの利上げは止まり、利下げに転じる可能性もあります。
日銀の政策金利引上げに端を発した今回の急激な円高株安は、まだしばらくマーケットも動揺し、落ち着くまでには少し時間がかかる可能性があります。ただ、1日の下落幅でいうと確かに記録的な数値ではありますが、少し期間を長く眺めてみると、円にせよ株価にせよ長期金利にせよ、2024年の年初の水準に戻っただけと言えなくもありません。特に住宅ローンについては長期にわたって返済していくものなので、目先のマーケットの動きに動揺しないようにして下さい。ただ、中長期的には金利のある世界に向けてマーケットも動いていくので、住宅ローンの金利が上がった時に家計はどうなるのかという視点で住宅ローンを再度チェックしても良いでしょう。
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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
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