税金・制度 住宅の資金援助の受け取り方は、節税だけで考えない

先日の家づくりの資金計画のご相談で、親御さんからの贈与資金の受け取り方のご質問が出ました。家づくりの資金援助は、その金額や受け取り方によって贈与税の対象になるため、どのように受け取るのが良いのかとのお話しです。

 

逆に言うと、住宅取得にあたっての贈与は非課税にできるのです。それが住宅取得資金の贈与税非課税の特例です。取得する住宅が、一般的な性能の建物なら500万円まで、省エネルギー性や耐震性、バリアフリー性などの性能が高い「省エネ等住宅」なら1000万円まで贈与資金が非課税になります。1000万円贈与を受けたら本来なら210万円の贈与税がかかりますから、この特例の節税効果は高いと言えます。ただ、この特例は当然ながら住宅取得のための資金に限定されます。(特例の詳細は国税庁のHPへ

 

ほかに、用途を限定しない特例としては、基礎控除として年間110万円まで非課税となります。またこの基礎控除は用途を限定しないだけでなく、誰から誰に贈与しても構いません(住宅取得資金の贈与税非課税の特例の場合は、親や祖父母からの贈与に限定)。そして、基礎控除と住宅取得資金の贈与税非課税の特例は併用可能です。そのため、贈与資金が1000万円以上ある場合は、毎年の基礎控除枠をうまく使うことで、より多くの贈与を受けることも出来ます。(基礎控除の詳細は国税庁のHPへ

 

例えば、2025年に住宅を取得予定で、夫の親から贈与を受けられる場合。2025年に住宅取得資金の贈与税非課税の特例を使って夫の親から夫へ1000万円の贈与を受けるとともに、夫の親から夫へ110万円を2025年と2026年の2回もらえば、基礎控除の範囲内なので、それぞれ非課税になります。合わせて夫の親から妻へも同様に110万円を2回もらえば、

夫 1000万円+110万円×2=1220万円

妻 110万円×2=220万円

の合計1440万円を非課税でもらえるという訳です。

 

繰り返しになりますが、贈与資金を住宅取得資金の贈与税非課税の特例で受け取るのか、基礎控除で受け取るのかで、その使い道が変わります。少し上がってきたとはいえ住宅ローンの金利が低いので、できるだけ住宅ローンの借入れを増やして手元資金を温存するという考え方もあります。住宅取得にあたっては、住宅ローンの対象にならない(なりにくい)諸費用や家具・家電の購入費用も必要となるので、親からの贈与資金をそれらの費用に充てたいという人も少なからずいるでしょう。ただ、そのためには住宅取得資金の贈与税非課税の特例でもらった資金を充てることはできないたいため、基礎控除の範囲内でもらう必要があります。前述の通り計画的に2か年に分けて、夫と妻それぞれに贈与すれば440万円まで非課税で資金を受け取り、それを住宅取得の諸費用に充てることができます。

 

ただ、この方法は税制的には適法ですが、留意すべき点があります。それは資金を用意してくれた「親御さんの気持ち」です。子どもが家を買う時のために用意したおカネなのに、引越しとか登記とか火災保険という家以外の費用に充てられてしまうと、釈然としない思いを持つかもしれません。また、何回にも分けて資金を移す手間もあります。お金に色はついていないとはいえ、親御さんの気持ちとしては「このおカネで家を買ってあげた」という満足感も大事かもしれません。

 

という訳で、節税という観点では有利であっても、人の気持ちという点では正解とは言えないこともあります。もともと親が用意してくれたおカネですから、節税だけにとらわれず、親御さんの気持ちも汲んで資金の受け取り方を決めることをお勧めします。なお、実際の税制や税額については、税務署や税理士にご相談下さい。

 

 

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