先日、家づくりの検討にあたってマイホーム予算診断(ライフプラン)を提出したご相談者から、教育費の補助制度についてのご質問がありました。教育資金は、住宅資金購入・老後資金と並ぶ「人生の三大支出」の一つ。子どもを大学まで上げれば一人当たり最低でも1000万円、私立や下宿するなど進路によっては2000万円かかります。「マイホームを考えたいけれど、子どもが3人もいて将来の教育費が不安」「住宅ローンと教育費、どちらを優先すべき?」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
ですが、今年の春から多子世帯に対する大学などの無償化が始まるなど、少子化対策の一環ということもあり、実は教育費を支える公的な支援制度が想像以上に手厚くなっていることをご存じでしょうか? この記事では、家づくりを考える時にも知っておきたい「教育資金の公的補助制度」について解説します。
■【保育園・幼稚園】「幼児教育・保育の無償化」で3歳から無料に!
2019年10月から始まった国の制度で、次の子どもの保育料が無償化となっています。
- 3~5歳児の全ての子ども:認可保育園・認定こども園・幼稚園で保育料が無償
- 0~2歳児の住民税非課税世帯:同様に保育料が無償
さらに、3人目以降の子どもについては、0~2歳でも保育料が全額免除または半額負担になる場合があります(自治体によって異なる)。副食費の負担軽減なども含め、子育て世帯には大きな支援となっています。詳しくは、こちらのこども家庭庁のHPをご覧下さい。
■【小・中学校】「義務教育でもかかる費用」は就学援助制度でサポート
義務教育は無償とされていますが、実際には給食費や学用品費、修学旅行費などがかかります。これらを支援するのが「就学援助制度」で、下記の補助が受けられます。
- 経済的に困難な家庭に対し、市区町村が給食費や学用品費などを補助
- 所得基準は自治体ごとに異なり、パートや自営業のご家庭も対象となることがあります
- 申請は毎年必要で、学校または市役所を通じて手続き
公立小中学校でも年間数万円の出費がかかるため、該当するご家庭はこの制度を活用することで家計負担を大きく減らせます。就学援助制度の詳細は、こちらの文部科学省のHPをご覧下さい。
■【高校】「高校授業料の無償化」と私立向け支援が充実!
高校では、国の「高等学校等就学支援金制度」により、公立高校は授業料が全員無償となっています。さらに私立高校でも、所得に応じて最大年39.6万円の支援金が国から出るほか、愛知県で独自に最大27,200円/月などの授業料軽減補助金が出るなど、各自治体でも補助金が用意されているケースも増えています。愛知県の私立高等学校等授業料軽減補助金の詳細は、こちらのHPをご覧下さい。
■【大学】「奨学金」だけじゃない!授業料減免・給付型制度にも注目
大学では日本学生支援機構(JASSO)による奨学金制度が有名ですが、2020年4月から「高等教育の修学支援新制度」がスタートし、以下のような支援が実現しています。
- 年収600万円程度未満の世帯などを対象
- 授業料減免+返済不要の給付型奨学金
- 私立大学で自宅外通学の場合、最大160万円程度のメリットも
さらに、2025年4月からは多子世帯に対する大学の無償化として、扶養する子どもが3人以上の場合、支援金として私立大学の場合授業料:最大70万/年、入学金:26万が支援されることになりました。
ほかに、各大学でも独自の奨学金制度を用意していることが多く、「借金しない進学」も現実的に選べる時代になりつつあります。高等教育の修学支援新制度の詳細は、こちらの文部科学省のHPをご覧下さい。
■【まとめ】家計の見える化と情報収集が、教育資金の第一歩
教育費は確かに大きな出費ですが、今の制度を正しく知り、活用すれば「思ったほど怖くない」と感じられるはずです。FPとしておすすめしたいのは、
- 今の家計と将来の支出を見える化すること
- 地域の制度や学校の特典など、具体的に調べてみること
さらに、住宅購入と教育資金のバランスを検討するには、ライフプランに基づいた資金計画が欠かせません。必要であれば、FPによる資金シミュレーションや補助制度の個別アドバイスもご活用ください。制度は活用した人が得をする時代。まずは「自分たちが何に該当するのか」から確認してみましょう。
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マイホーム購入前に、中立な第三者にご相談を!
名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
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