資金計画 住宅取得資金の贈与税非課税の特例の注意点(2) 複数年に分けての贈与も対象に

前回に続き、昨年改正された
住宅取得資金の贈与税非課税制度の注意点をご紹介します。
その前に、この制度の基本を知りたい方は、
以前ご紹介したコチラの記事をご参照ください。
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まずは、税務署で配布されている
「住宅取得等資金の贈与税の非課税のあらまし」※原本はコチラ(国税庁のHP)
の2ページ目に記載されている、非課税限度額に関する次の注意書き。
『既に新非課税制度の適用を受けて贈与税が非課税となった金額があ
 る場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額になります』
これは何を意味するのか?
それは、一度非課税の適用を受けても、その非課税分を差し引いて
再度非課税の適用を受けることが出来る、ということ。
つまり、「複数年にわたる贈与も対象」になるということです。
改正前の非課税枠は、「贈与年」で決まりました。
非課税となるのはその1年間に贈与された資金に限られ、
かつ一度贈与の非課税の適用を受けたら、
再度受けることが出来ませんでした。
そのため、複数年にわたって贈与を受けても、
1年分の贈与しか非課税の対象になりませんでした。
対して改正後の非課税枠は、
「工事や売買契約の締結日」で決まります。
そのため、平成31年6月30日までなら、いつ・何回贈与を受けても
定められた限度額いっぱいまで非課税枠が適用されます。
例えば、平成28年の9月末までに工事請負契約を締結した場合。
下図の通り、平成28年と29年の2か年に分けて
700万円(省エネ等住宅は1200万円)の非課税限度額まで
贈与を受けることが可能なのです。
160112_贈与税.jpg
これで、親の資金的な都合(定期預金の満期など)で
一度に贈与できない時でも、非課税の適用を受けやすくなりました。
図では2つのパターンを挙げましたが、売買代金の支払いの都合上
一般的には1のケースとなるでしょう。
今年売買契約を締結し、今年贈与を受けた場合、
来年3月15日までに建物の引渡しを受け、入居することになります。
ということは、残金の支払いの関係から、
来年の贈与も3月15日までに受けることになるからです。
建売住宅や中古住宅の場合は1のケースになるでしょう。
注文住宅の場合は、2のケースもあり得ます。
今年工事請負契約を締結し、今年贈与を受けた場合、
建物は来年3月15日に上棟していれば大丈夫。
そうすると、3月15日以降に贈与を受けて、
完成時の残金支払いに充てることも可能だからです。
ちなみに、昨年贈与を受けた人でも、非課税枠に余裕があれば
今年再度贈与を受けることができます。
すでに昨年贈与を受けている人も
一度親御さんと相談してもよいかもしれません。
なお、前述の通り、贈与を受けた翌年には確定申告が必要です。
もし2年に分けて贈与を受けた場合は、
それぞれ(2回)申告する必要があります。
もし申告を1回しかしないと、申告しなかった1回分は
非課税の適用を受けられなくなるのでご注意下さい。
また、現行制度では複数年に分けた贈与が非課税の対象になりましたので、
平成25年以前に非課税の特例を利用していて、再度贈与を受けた場合でも
非課税の対象になるかというと、なりません。
平成25年以前の制度はあくまで別モノであり、
そもそも平成25年以前の制度の適用を受けた人は、
現行制度の特例を受けることが出来ないからです。
          * * *
・・・続きは次回とさせていただきます。
なお、ここでご説明した内容は
財務省や国税庁の資料、税務署職員のお話をもとに
草野が解釈したもので、国の正式な見解ではありません。
万一誤りがあっても草野は責任を負いかねますので、
特例を受ける際は、ご自身で税務署などにご確認下さいませ。

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