前回に引き続き、昨年改正された
住宅取得資金の贈与税非課税制度の注意点をご紹介します。
▼▼これまでの記事は下記▼▼
0.金額や贈与日だけでない 改正された住宅資金の贈与税特例にご注意!(12/18)
1.いろいろある改正後の注意点(1/11)
2.複数年に分けての贈与も対象に(1/12)
* * *
まずは、税務署発行の「住宅取得等資金の贈与税の非課税のあらまし」
2ページ目に記載されている、非課税限度額に関する注意書きをご覧下さい。
『ただし、上記2の表における非課税限度額は、平成28年9月30日
までに住宅用の家屋の新築等に係る契約を締結し、既に新非課税制
度の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合でも、そ
の金額を控除する必要はありません』
▼▼受贈者ごとの非課税限度額(上記あらましP2より)▼▼
この文章は、どういうケースを想定しているのか?
抽象的でイマイチ分かりません。
もともと今回の改正で、平成31年6月30日までなら、
いつ・何回贈与を受けても定められた限度額いっぱいまで
非課税枠が適用されるようになりました。
ですので、本来、一度贈与を受けたことがある場合は、
「その金額を控除した残額が非課税限度額」になるハズ。
が、ここで書かれているのは、一定の条件を満たした場合に
「控除しなくて構わない」という例外規定なのです。
それは、どのような条件の場合か。
これは今年(平成28年)9月30日までに
売買や工事などの契約をした場合、となります。
この日付というのは、消費税10%増税の経過措置として
設定されている、消費税率8%が適用される
注文住宅の工事請負契約締結の期限と同じ日。
つまり、消費税増税の駆け込み需要を抑えるための、
優遇施策という訳ですね。
では、どのような優遇なのか。
それは、いったん上記表1の非課税の特例を受けても、
消費税10%での売買や工事請負契約を行った場合、
再度上記表2の非課税の特例を受けられるというもの。
つまりダブルで優遇を受けられるということ。
ということは、非課税枠が最大で
1500万円+3000万円の計4500万円になるのです。
スゴイ大盤振る舞いですが、
実際にどのようなケースが当てはまるのか?
例えば、消費税8%で家を買ったものの、
消費税が10%に上がってから再度家を購入して
住み替えるケースが想定できます。
・・・って、そんなケースは滅多にないでしょう。
で、現実的なのが、中古住宅の購入+リフォームの場合。
下図の1のように、今年の9月30日までに中古住宅の売買契約を行い、
引渡し後にリフォームをする。これなら十分あり得ます。
その場合の非課税枠は、最大で
1200万+3000万の計4200万円となります。
(中古住宅が省エネ等住宅に該当する場合)
まさに大盤振る舞い!
国の中古住宅流通活性化の施策がこんなところにも表れています。
ただ、注意点が。
リフォーム工事の契約を今年10月1日以降に行っても、
リフォーム工事の消費税率が10%にならないと、
図の2のようにダブルでは非課税が適用されません。
ですので、リフォーム工事の完了が消費税増税後の
平成29年4月1日以降になるようにお気をつけ下さい。
ということで、中古住宅の購入+リフォームをお考えで、
かつ数千万円規模の贈与を見込める方にとっては、
今年の9月30日までの購入がおトク!というお話でした。
* * *
・・・続きは次回とさせていただきます。
なお、ここでご説明した内容は
財務省や国税庁の資料、税務署職員のお話をもとに
草野が解釈したもので、国の正式な見解ではありません。
万一誤りがあっても草野は責任を負いかねますので、
特例を受ける際は、ご自身で税務署などにご確認下さいませ。
資金計画 住宅取得資金の贈与税非課税の特例の注意点(3) 中古購入+リフォームがおトク!
代表プロフィール
草野芳史(くさのよしふみ)
資格・役職等
CFP
住宅ローンアドバイザー
宅地建物取引士
公認ホームインスペクター(NPO法人日本ホームインスペクターズ協会)
(一社)マンション管理相談センター理事
金城学院大学非常勤講師
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