いま確定申告の時期ということで、昨年住宅を取得したお客様から、住宅ローン減税の確定申告の方法について何件かお問合せが入りました。そこで、今回のコラムでは住宅ローン減税の確定申告について解説します。会社員の方でも初年度は確定申告が必要なので、初年度の流れや必要書類、e-Taxの手順、そして見落としやすい「実際に住んでいること」の要件まで整理します。
ポイント 初年度は「入力」より「要件確認」が重要です
■ 初年度の3ステップ
住宅ローン減税(正式名称:住宅借入金等特別控除)の確定申告は、
① 書類を揃える
② 国税庁サイトで作成
③ 入居年の翌年に提出
という流れです。操作自体はそこまで難しくありません。
ただし、最も重要なのは「制度要件を満たしているか」の確認です。ここがズレていると、入力が正しくても適用できない可能性があります。
1️⃣ まず全体像を押さえる
■ 住宅ローン減税の対象になるのはどんな人?
住宅ローン減税の対象となるのは、次のような方です。
・住宅ローンを利用して住宅を取得・新築・増改築した
・自ら居住している
・床面積や所得要件などを満たしている
制度の詳細は国税庁「住宅ローン控除を受ける方へ(確定申告特集)」等をご確認ください。
2️⃣ 初年度の確定申告|具体的な進め方
① いつ申告するのか(申告時期)
入居した年の「翌年」に確定申告を行います。
例)2025年入居 → 2026年2~3月に申告
初年度(※税制は暦年(1月~12月)で計算されます)は会社員でも原則、確定申告が必要です。
② どの方法で申告するか(持参・郵送・e-Tax)
・税務署へ持参
・郵送
・e-Tax(マイナンバーカード利用)
出典:国税庁「確定申告書等作成コーナー」
e-Taxがスムーズですが、マイナンバーカードと暗証番号(パスワード)が必要です。
3️⃣ 必要書類チェックリスト|まずはここを揃える
【必須書類】
✔ 住宅借入金等特別控除額の計算明細書(作成コーナーで作成)
✔ 金融機関の年末残高証明書
✔ 登記事項証明書(建物・土地)
✔ 売買契約書または工事請負契約書の写し
✔ 源泉徴収票(会社員の場合)
✔ マイナンバー確認書類
【場合により必要】
✔ 長期優良住宅・ZEHなどの証明書
✔ 増改築等工事証明書(リフォーム)
4️⃣ 控除額はどう決まる?|“借入額”ではなく“年末残高”が基準
控除額 = 年末ローン残高 × 控除率
重要なのは、「借入額」ではなく「年末残高」で計算される点です。年末時点でいくら残っているかが基準になるため、ここを誤解している方は意外と多いです。
5️⃣ 要注意|「実際に住んでいること」が最重要要件
これは非常に重要な要件です。根拠として租税特別措置法 第41条があり、国税庁の解説でも要件が整理されています。
条文上は「その者の居住の用に供した場合」とされ、実務的には、
✔ 生活の本拠であること
✔ 実際に日常生活を営んでいること
が必要です。
❌ ダメな例
・セカンドハウス
・将来住む予定で現在は空き家
・親族に住まわせている
・住民票だけ移して実際は住んでいない
形式だけではなく、実態が重要です。
■ 何で判断されるのか?
主な判断材料は次のとおりです。
① 住民票(最重要)
② ライフライン契約状況
③ 郵便物の送付先
④ 通勤・通学状況
総合判断になります。
■ 入居期限(原則)
原則として
・住宅の新築等の日から6か月以内に居住の用に供していること
・その年の12月31日まで引き続き居住の用に供していること
が求められます。
引渡日=入居日ではありません。実際に寝泊まりを始めた日を基準に整理しておくと安全です。
6️⃣ e-Taxで申告する場合の流れと所要時間
手続きは5段階
- 事前準備
- 所得入力
- 住宅ローン減税入力
- 添付書類整理
- 電子送信
マイナンバーカード方式の案内は国税庁e-Taxページにまとまっています。
■ 所要時間の目安
スムーズにいけば ▶ 60~90分
慣れていない場合 ▶ 2~3時間
時間がかかるのは入力よりも「準備」です。
■ よくあるつまずき
⚠ 暗証番号ロック(複数回間違えると手続きが止まります)
⚠ 入居日の誤入力
⚠ 床面積の入力ミス
⚠ 持分割合の不一致(ペアローン・共有名義)
共有名義・ペアローンの場合は、原則として夫婦それぞれが申告します。
7️⃣ 2年目以降はどうなる?|会社員と自営業で違います
会社員の場合、2年目以降は年末調整で処理するのが一般的です。税務署から交付・送付される年末調整用の書類(「住宅借入金等特別控除申告書」等)と、金融機関の年末残高証明書を勤務先に提出します。
※転職等で年末調整が受けられない場合や、自営業の方は、2年目以降も確定申告になることがあります。
8️⃣ FPが現場でよく見る“つまずきポイント”
実務上、申告書作成よりも前の段階でつまずく方が少なくありません。
✔ 床面積要件の確認(登記面積ベース)
✔ 住宅性能区分の誤認(証明書の有無)
✔ 持分割合と借入割合の不一致
✔ 中古+リフォーム併用の整理
住宅ローン減税は「確定申告のテクニック」の問題ではありません。家づくりの段階で、要件を満たしているかを確認しているかどうか、制度の適用要件確認が重要です。
まとめ|住宅ローン減税は“作業”より“前提整理”
住宅ローン減税の確定申告は
① 書類を揃える
② 国税庁サイトで作成
③ 入居年の翌年に提出
という流れです。
難しそうに見えますが、書類が揃えば作業自体は機械的に進みます。
ただし、「実際に住んでいるか」「要件を満たしているか」が重要です。制度は“申告テクニック”よりも“前提条件”がすべてです。
参考リンク(公式中心)
■国税庁|住宅ローン控除を受ける方へ(確定申告特集)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/juutaku.htm
■国税庁|確定申告書等作成コーナー(入口)
https://www.keisan.nta.go.jp/
■国税庁|e-Tax(マイナンバーカード方式について)
https://www.e-tax.nta.go.jp/kojin/mycd_login.htm
■デジタル庁|マイナポータル
https://myna.go.jp/
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