新型コロナウイルスでは草野もいろいろな影響を受けていますが、いい影響も少なからずあります。巷で流行っているオンライン・ミーティングやオンライン飲み会もその一つ。昨夜も名古屋のファイナンシャルプランナー(FP)仲間とオンライン飲み会をしました。けっこう長いお付き合いの方々なのですが、FP特有の勉強熱心さでこれまでリアルでお会いした時はほぼ勉強会(FP業界では“スタディグループ(略してSG)”と言います)でしたので、まじめなお話しばかり。昨日も近況報告やお互いの仕事の仕方など比較的堅い内容が多かったのですが、それでも業界ウラ話やFPあるある的な、普段聞けない濃い~いお話しが出来たので、環境を変えるということも意味があるのですね。コロナウイルスによる思わぬ気づきでした。
昨日は4人と比較的少人数だったこともあり、一人一人の仕事の内容や相談者の傾向、そして料金体系などをじっくり情報交換したのですが、誰からともなく出たのが「やっぱりFPはいろいろなスタイルがあるのですね」という言葉。先日も別のFPのメンバーでオンラインミーティングをしましたが、そこでも全く違ったやり方のFPがいて、まさに十人十色。誰の話を聞いても「へ~え」と感心してしまいます。FPというのは資格も国家資格と民間資格が入り乱れているうえに、税理士や弁護士のような独占業務やFPを縛る法律も無いため(業務内容によっては保険や金融といった業法や税理士法といった周辺の法律に縛られますが)、これといった定型業務もありません。無資格者でもFPを名乗れるため、一般の方々がいざFPに相談しようと思っても、どのFPを選べばよいのか難しいでしょう。そこで、FPにはどのような種類があるのか、どのような視点で選べばよいのかを、FPの立場から、というか草野の独断で書いてみます。そのポイントは3つ、1)業務範囲(専門分野)、2)保有資格、3)料金 です。以下、順番に見てみます。
1)FP選びのポイント1「業務範囲(専門分野)」
ファイナンシャルプランナーというのは、FP協会のHPにある通り「一人ひとりの将来の夢や目標に対して、お金の面で様々な悩みをサポートし、その解決策をアドバイスする専門家」ですが、FPに相談しようと思う人がまず最初に気になるのが、「どんな相談ができるのか」という業務範囲(専門分野)だと思います。おカネや家計というのは非常に幅が広く、FPの相談分野でいうと「ライフプラン」「不動産・住宅ローン」「資産運用・投資」「保険」「老後・年金」「税制・相続・贈与」の6つに渡ります。FP資格を取得しているFPなら6分野一通り(資格試験だと「金融資産運用設計」「不動産運用設計」「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」「リスクと保険」「タックスプランニング」「相続・事業承継設計」の6分野)の勉強を行い、さらにAFPやCFP資格の所有者なら資格を更新するために継続的に勉強をしているので、どのFPであっても、6分野の最低限の知識はあるでしょう。
ただ、6分野となるとどうしても幅が広すぎるため、全ての分野に深く精通しているFPというのは恐らくどこにも存在せず、大きく分けて「6分野を幅広くアドバイスするFP」か、「特定の2~3分野に特化して実行支援まで含めたアドバイスを行うFP」の二つに分けられます。「広く浅く」か「狭く深く」の違いと言っても構いません(繰り返しますが、「広く深く」アドバイスできるFPは稀有でしょう)。草野自身は「ライフプラン」と「不動産・住宅ローン」に特化するFPであり、この2分野に絞っているFPは名古屋だけでなく全国的にも珍しいと自負しています(FP協会のCFP検索システムで調べると分かります)。「ライフプラン」と「不動産・住宅ローン」以外のご相談については、信頼できるFPなどの専門家と連携してアドバイスしています。昨日やその前にオンラインで話をしたFPでいうと、投資・運用を得意にするFPや保険に強いFPもいました。逆に不動産業界や証券業界、保険業界それぞれを経験し、総合的にアドバイスしているFPもいました。ですので、相談する立場からすると、どんは相談をしたいのか、例えば家を買うための予算や資金計画、住宅ローン選びといった明確な目的があれば草野のような住宅を専門とするFPに相談し、もう少し幅広くライフプランを含めた保険や貯蓄、住宅、老後資金といったトータルな相談をしたい人は総合的にアドバイスできるFPに相談するというように、相談内容に合わせてFPを選ぶのが正解でしょう。
2) FP選びのポイント2「保有資格」
上記の相談分野と関連するのが、保有資格です。保有資格にも大きく二つがあり、一つが「FP資格」、もう一つが「FP資格以外の専門的な資格」です。先述の業務範囲でいえば、特に専門分野に特化しているFPならばその分野の資格は保有していた方が良いでしょう。例えば草野のような住宅専門のFPであれば、宅地建物取引士や住宅ローンアドバイザーなどが挙げられます(さすがに建築士を持っているFPは少ないです)。FPが持っている(持っていた方が良い)資格としては、保険(生保・損保)募集人、証券外務員、DCプランナー・アドバイザー、貸金業務取扱主任者などが挙げられます。税理士や弁護士、司法書士といった国家資格を持っているFPもおり、昨日のオンライン・飲み会では社会保険労務士を持っているFPがいました。
もう一つの「FP資格」ですが、これが少々ややこしいのです。まず国家資格である「ファイナンシャル・プランニング技能士」で、一級から三級まであります。三級は率直なところ学生が就活の一環で取るぐらいなので、FPを名乗るなら最低でも二級は持っておきたいところ(草野は二級です)。FP技能士は一度取れば特に更新の手続きは不要で生涯名乗ることが出来ます。このFP技能士は国家資格ではありますが実は歴史は浅く、FP業界的には次の民間資格であるAFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)やCFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)の方が箔があるところが、混乱の一因とも言えます。難易度、というか資格の比較でいえば、二級FP技能士=AFP、一級FP技能士=CFPと言えます。FPとして仕事をするなら、二級と同程度のAFPくらいは持っていたいところ(草野が非常勤講師をしている金城学院大学の講義は、まさに「AFP認定研修資格過程」。学生でも取得できます)。CFPは国際ライセンスで、「世界が認めるプロフェッショナルFPの証で、FPの頂点(FP協会HPより)」と言えます。先述の6科目の試験全てに合格する必要があり、更新するにも一定の単位の取得が必要なため、業界の人に「CFPを持っている」と言うと、一目置かれます(草野も持っています(^-^))。ただ、これらの資格はあくまで“資格”に過ぎず、資格を持っているからFPとしての経験や能力が高いとは限りませんので、そのFPの経歴や実績なども併せて確認下さい。
3) FP選びのポイント3「料金」
もう一つFPを選ぶ時の視点として気になるのが「料金」でしょう。先述の通り、FPにとって業務内容だけでなく料金も千差万別なうえ、「相談無料」とさえ謳うFPがいるため、「FPへ相談する価値」が見えにくくなっています。このように、大きく分ければ相談が無料のFPと有料のFPに分かれます。この相談料については宅建業法における不動産の仲介手数料のように上限などの制限がないため、時には意外なほど高額な料金が請求されることもあります。有料のFPの場合は、相談をする前に相談メニューと料金をしっかり確認することをお勧めします。例えば草野の例で言うと、ライフプランの作成(マイホーム予算診断)は5000円、住宅の資金計画や住宅ローンの提案といった家づくりのためのおカネのアドバイスは10万円の定額制ですが、FPによっては住宅ローンの借入額の1%といった定率制のケースや、1時間あたり1万円といった時間制を採用するFP、さらに毎月(年間)○○円といった顧問契約制を採用するFPもいます。共通なのはご相談者からいただく相談料(コンサルティング・フィー)で運営しているという点です。
では、相談が無料のFPはどのようにして運営しているのかと言うと、例えば保険の代理店などで保険の販売手数料(コミッション)で売上を立てているケースが挙げられます。このようなコミッションのFPのメリットは相談料が無料なうえ、提案だけでなく実行支援まで一貫して行えるので、相談者からすると敷居が低いと言えます。ただ、特定の商品を販売するという性格上、中立なアドバイスを受けにくくなることがありますので、相談料が無料のFPについては、そのFPがなにを収益源にしているのかをよく確認することをお勧めします。無料相談を行うFPで多いのは、保険や証券、住宅ローンといった金融商品の販売や取次ぎでしょう。何が収益源かは、会社概要・事業内容(保険代理業や保険の募集とあれば保険の販売)や、事務所の免許・許可(金融商品仲介業者なら株式や投資信託の販売、宅地建物取引業の免許があれば不動産屋)を確認するとだいたい分かります。中には、販売ではは無く住宅会社や不動産会社を紹介し、そこからの紹介料(バックマージン)を収益源にしているFPや、有料相談と無料相談(商品の販売)を組み合わせているFPもいます。草野は商品の販売や紹介料の受け取りは一切しない有料相談専門のFPで(初回の相談のみ無料)、昨日のオンライン飲み会に参加したのも全員が有料相談を行うFPでしたが、どちらかというと有料のFPの方が少数派で、無料のFPの方が多数派です。
ということで、以上が草野の独断によるFPの選び方のポイントでした。こうしてあらためて見返してみても、FP選びは難しいと感じますが、その最大の要因は、FPの存在自体がまだまだ世に知られていないからだと言えます。FP協会はじめ、FP業界全体の努力がもっと必要なのでしょう。草野もFPの一人として、意識したいと思います。FPについて詳しく知りたい方は、こちらのFP協会のHPをご覧下さい。
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マイホーム購入前に、中立な第三者にご相談を!
名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
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