本日4月9日、ゆうちょ銀行が長期固定金利タイプの住宅ローン・フラット35を新規に取り扱うことに対して、総務省と金融庁が認可を出しました。ゆうちょ銀行がフラット35を取り扱うのは、スルガ銀行と提携していた2019年以来。今回のゆうちょ銀行へのフラット35取り扱いの認可は、パッと見たところ以前販売していた商品を改めて取り扱うだけのように見えますが、単にそれだけの意味ではありません。
以前、ゆうちょ銀行が扱っていたフラット35は、スルガ銀行が実際の融資業務を行っていました。それが、スルガ銀行が女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」など投資用不動産向けのアパートローンの不正融資問題で提携を解消することになったため、2019年6月末をもってゆうちょ銀行でのフラット35の取り扱いも無くなりました。その後、ゆうちょ銀行は新しい住宅ローンの提携先を求め、2019年10月からソニー銀行、2020年3月から新生銀行の住宅ローンを扱うようになりました。これらすべてに共通するのは、ゆうちょ銀行が民間の金融機関と提携し、ゆうちょ銀行が各金融機関に住宅ローンの顧客を媒介するという形式をとっているということです。
でも、ゆうちょ銀行は民間金融機関の商品を媒介するのではなく、自社の住宅ローン商品を直接販売する機会を窺っていました。「民業圧迫になる」という民間金融機関からの反対もあり、個人事業主や高齢者、女性といった民間金融機関が積極的に扱っていない扱っていない顧客層をターゲットにするなどあの手この手を使ったものの、なかなか参入の機会を得られませんでした。それが、今回のフラット35の取り扱いへの認可が下りたことで、念願となる自社での住宅ローンの直接販売ができるようになります。
実際には、フラット35は住宅金融支援機構のルールの下で融資業務を行うので、全くの独自商品ではありません。それが、これまでのような他行の媒介業務ではなく、自ら住宅ローンの貸出業務を行うゆうちょ銀行にとってはちょうどよいのかもしれませんし、だからこそ国の認可も下りたのかもしれません。今回のフラット35の取り扱いを取っ掛かりとして、ゆうちょ銀行が今後住宅ローン業務に本格参入し、自社商品を販売するきっかけになる可能性もあります。すでに低金利競争で体力の低下している民間金融機関にとっては脅威になる反面、住宅ローンの借り手にとっては新たな競争やサービスが生まれる可能性があるので歓迎すべき動きと言えるかもしれません。ただ、組織が大きく法的縛りも多いゆうちょ銀行ですので、すぐには住宅ローン業務の拡大は難しいでしょう。しばらくは様子を見守っていきたいと思います。
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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
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