土地にせよ中古住宅にせよ、不動産を買ったり借りる時にその不動産の状態(品質)や過去の履歴は誰しも気になります。特に、殺人や火事といったトラブルで人が亡くなった不動産は、「事故物件」と忌み嫌われる傾向にあります。こういった物理的、実用上は問題がないものの、契約を躊躇うほどの事情のことを専門的には「心理的瑕疵」と呼び、仲介や販売する不動産会社は重要事項説明で買主に伝える義務があります。
ただ、この心理的瑕疵については法律的に明確な規定はなく、不動産会社個々の判断となっており、トラブルの原因にもなっています。そこで国土交通省は、この心理的瑕疵についてのガイドラインを検討し、現在パブリックコメントコメントで広く意見を募っています。では、心理的瑕疵とはどのようなものを指すのか、ガイドラインを見てみます。
ガイドラインにおいて「告げるべき事案」とされているのは、「人の死に関する事案」となっています。ただ、人は必ず亡くなるものなので、人が亡くなったら全て告知義務があるという訳ではありません。そのため、まず告知するかしないかの基準は次のようになります。
◆告知義務がない場合
a.自然死又は日常生活の中での不慮の死が発生した場合。
◆告知義務がある場合
b.他殺、自死、事故死その他原因が明らかでない死亡が発生した場合。
c.上記aの場合でも、もすぐに発見されず長期間にわたって放置され、臭いや虫が発生して特殊清掃を行った場合。
といったところで、いたって妥当な線引きですね。告知を行う場合には、
・発生から概ね3年間
・発生時期、場所及び死因(不明の場合はその旨)
・亡くなった方や遺族・関係者のプライバシーに配慮する
(個人情報や具体的な死因や発見状況の告知は不要)
といった点を踏まえるということになっています。
ちなみに、上位ガイドラインは現時点でパブリックコメントにて意見を広く募っているところで、まだ決定しているものではありません。また、「本ガイドラインは、新たな判例や取引実務の変化を踏まえるとともに、社会情勢や 22 人々の意識の変化に応じて、適時に見直しを行うこととする」と記載されている通り、運用しながら随時見直しされることになります。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
マイホーム購入前に、中立な第三者にご相談を!
名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□