日銀は、1月23日・24日に開催した金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物レート)をこれまで0.25%だったところ0.5%へと0.25%引き上げることを決めました。これで、昨年3月19日のマイナス金利解除で△0.1%から+0.1%へ、7月31日に0.25%への引き上げとなり、この1年足らずの間に0.6%引き上げられることになりました。政策金利の0.5%という水準は、2008年以来17年ぶりとなります。
政策金利の引上げと連動して、変動金利タイプの住宅ローンも利上げが進み、昨年の10月には各金融機関で軒並み0.25%程度利上げされています。2008年当時の変動金利タイプは2%近くにまで達していました。さすがに17年前と現在とでは住宅ローンを取り巻く環境が違うので、今回の日銀の決定で変動金利が1%をはるかに超すことは無いでしょうが、それでも3月ころには変動金利タイプが0.25%程度の利上げされ、0.975%など1%近くになる金融機関も増えるでしょう。少なくとも、三菱UFJ銀行など一部のメガバンクの0.3%台の変動金利は姿を消すことになるでしょう。去年の今頃はauじぶん銀行の0.169%やSBI新生銀行の0.19%など、0.3%はおろか0.2%を切るような低金利の変動金利タイプの商品があったのが、わずか1年前とは思えずもはや隔世の感です。
この政策金利の引上げや変動金利タイプの住宅ローンの利上げは、今後どこまで進むのでしょうか? 今回の政策金利引上げの背景として、日銀の植田総裁は、今年の春闘で賃上げが見込まれることやこのところの物価上昇、そして円安などを挙げましたが、これらはすぐには解消されることはないでしょう。また、植田総裁は金融正常化=金利のある世界を目指しています。金融政策の面では、景気に良い影響も悪い影響も与えない中立な金利水準は、一説には2.0%程度とも言われ、円安の元凶となっているアメリカなど海外との金利差も顧慮すると、まだしばらくは政策金利の引上げは継続するものと思われます。経済に悪影響を与えるような急激な引上げは無いとしても、2025年中にもう1回は引上げられ、変動金利タイプの住宅ローンが1%台の大台に乗る可能性は十分あり得ると思われます。
なお、変動金利タイプの住宅ローンは、一部のネットバンクなどを除いて金利変動による返済額の急増を抑える措置として、5年間は返済額を変えないため、変動金利タイプの住宅ローンを現在返済中であっても、利上げの影響で毎月の返済額が上がる人は少ないでしょう。そのため、5年ごとの返済額の見直しの際に思った以上に返済額が上がって驚くという事態もあり得るので、家計や金利の状況によっては、早めに住宅ローンを借り換えたり繰り上げ返済をするなどの対策を立てた方が良いでしょう。
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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
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