住宅ローン やってはいけない借換え3選 金利が上がる今、住宅ローンの正解は?

いま、住宅ローンの金利が上昇しています。特に明日18日・19日の日銀の金融政策決定会合では、政策金利の引き上げが決まる可能性も高まっています。そのため、
「このまま変動金利で大丈夫なのか?」
「いまのうちに借換えた方がいいのでは?」
と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

実際、最近はSNSなどでも、変動金利で返済中の方が借換えを検討する動きが目立ってきました。
ただし、結論から言うと―― いまの金利環境では、“借換え=得になる”とは限りません本記事では、金利上昇局面だからこそ知っておいてほしい「やってはいけない借換え3選」と、それでも借換えを検討するなら押さえるべき判断軸を、FPの視点で解説します。

 

 


やってはいけない借換え①
変動金利 → 変動金利の借換え


まず最も多いのがこのケースです。ネット上でもこの手の広告が見られ、「今より金利が低い銀行に借り換えれば安心」と思われがちですが、いまの状況ではほとんど意味がありません。理由はシンプルで、これからは、どの銀行も変動金利を引き上げていく局面だからです。

実際、2025年12月には三菱UFJ銀行が変動金利を 0.595% → 0.670% に引き上げました。数カ月前まで「業界最低水準」と言われていた銀行でも、先行して利上げに動いています。

つまり、

  • 今いちばん低い銀行に借り換えても
  • 数カ月後には他行と金利が逆転する可能性がある

ということです。

👉 変動から変動への借換えは、金利上昇局面ではほぼ無意味
これが現実です。

 


やってはいけない借換え②
「目先の返済額を下げたい」だけの借換え


数年前までは、「借換え=金利が下がる=返済が楽になる」という時代がありました。実際に以前の当コラムでもご紹介しましたが、「残債1000万円以上、残期間10年以上、借換前と借換後の金利差1.0%」があれば、利息削減を狙って借換も可能です。実際にいまご相談中の方の中には、金利の高い方がいて返済額低減を狙っての借換えを進めています。

でも、いまは違います。

  • 固定金利はすでに上昇
  • 変動金利もこれから上昇する可能性が高い

それでも、例えば
「いまの金利が2.0%だから、0.8%に借り換えれば○○万円浮くぞ!」
というケースがあるかもしれません。でも、これは要注意。

現在の2.0%の住宅ローンは固定金利タイプで、0.8%の住宅ローンは変動金利タイプかもしれません。金利の数字だけを見ると大きく下がったように見えますが、「固定金利から変動金利へ」という性質の異なるローンへの借換えである点には注意が必要です。借り換えた当初は金利が下がり返済額も下がったものの、今後変動金利が上がれば以前との差が縮まるどころか逆転する可能性もあります。

もし住宅ローンを借り換えようというなら、単に金利だけではなく金利タイプや団信など、今と借換後の住宅ローンの内容をよく比較することが重要です。

 


やってはいけない借換え③
金利上昇への不安だけで決める借換え


金利が上がる、というニュースを見ると、誰でも不安になります。ただし、不安=借換えが正解ではありません。

変動金利は、すぐに固定金利の水準まで上がるわけではありません。例えば、2025年12月時点のフラット35は 1.97% です。そのため、「このまま変動で行けるところまで行く」という選択も、十分に合理的です。

ただし、その場合のポイントは一つ。

👉 金利が上がっても返済できる家計の余力があるか

これを確認せずに判断するのは危険です。

重要なのは、

  • 金利がどこまで上がったら
  • 家計がどれくらい苦しくなるのか

を把握しているかどうか。

例えば、

  • 0.5%上がったらどうなるか
  • 1.0%上がったらどうなるか

こうした影響を数字で確認しないまま借換えを判断するのは危険です。

 

 

ここまで「やってはいけない借換え」をお伝えしましたが、もちろん、借換えを前向きに検討してよいケースもあります。

 


借換えを検討してよいケース① 団信を手厚くしたい場合


最近の住宅ローンは、

  • がん保障
  • 全疾病保障
  • 就業不能保障

などが、無料で付く商品も増えています。

一方で、

  • 年齢が上がる
  • 健康状態が変わる

と、こうした保障が付けられなくなる可能性もあります。

👉 団信を充実させたいなら、早めの借換えは十分アリ
これは、金利とは別の「家計防衛」の考え方です。

 


借換えを検討してよいケース② 金利上昇リスクを止めたい場合


固定金利はすでに先行して上昇しており、民間金融機関では2%台後半の商品も出てきています。一方、フラット35はまだ 2%を切る水準にあります。さらに国は、2026年4月以降、子育て世帯向けに借換えでもフラット35の優遇を使える方向で検討中です。

👉 「固定に切り替えるなら、どのタイミングか」
戦略的な検討が重要になります。

 


借換えをするなら、必ず考えてほしい2つのこと
借換えの「意図・狙い」は何か?


  • 金利上昇リスクを止めたいのか
  • 団信を手厚くしたいのか
  • 将来の家計不安を減らしたいのか

👉 目的がはっきりしない借換えは、失敗しやすい
これは、住宅ローンの借換相談の現場で強く感じている点です。

 


家計全体を見た判断になっているか?


借換えを考える前に、ぜひやってほしいのがライフプラン(キャッシュフロー表)の作成です。

  • 教育費はいつ、いくらかかるのか
  • 老後資金は足りるのか
  • 金利が上がった場合の影響はどれくらいか

これを見える化して初めて、

  • 借換えるべきか
  • 今は様子を見るべきか
  • どこが分岐点か

が分かります。

 


まとめ:借換えは「テクニック」ではなく「家計の戦略」


いまの金利環境では、借換えは“金利を当てにいく勝負”ではありません。

  • どんな家計を守りたいのか
  • どんなリスクを避けたいのか
  • 将来、どこで安心したいのか

そのための戦略的な判断が求められています。場合によっては、借換えではなく「繰り上げ返済」で利息負担を抑えるという選択もあります。

「借換えた方がいいのか分からない」
「このまま変動で大丈夫か不安」
そんなときは、借換えありきではなく、家計ありきで考えてみてください。

家計とマイホーム相談室では、ライフプラン(キャッシュフロー表)をもとに、金利上昇局面での住宅ローン戦略を一緒に整理しています。迷ったら、一人で判断せず、ぜひご相談ください。

 

 

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家計とマイホーム相談室 草野芳史

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