このところ、ドル円相場では円高・ドル安方向への動きが目立っています。このように相場が動くと、住宅ローンを検討中の方の中には、「住宅ローンの金利はどうなるの?」と気になる方もいるかもしれません。
前回のコラムでは、衆議院解散・総選挙をきっかけに長期金利(日本の10年国債の利回り)が上昇し、住宅ローンの固定金利タイプに影響が出る可能性があることを解説しました。今回はその続編として、日本の政治だけでなく、世界的な政治・経済の動きが、為替や金利を通じて日本の住宅ローンにどう影響するのかを整理してみます。
グリーンランド問題とドル安の「きっかけ」
今回の円高ドル安を語るうえで触れておきたいのが、アメリカのグリーンランド領有をめぐる動きと、それに絡む対欧州関税の強化姿勢です。これは、アメリカのトランプ大統領がグリーンランドの戦略的重要性に言及し、それに反発する欧州各国との間で政治・通商面の緊張が意識された一連の動きです。これらは市場では、関税強化などの強硬姿勢につながるのではないかとの警戒感が広がるとともに、
・米国の外交・通商政策の不透明感
・世界経済へのリスク意識の高まり
を連想させ、ドルが積極的に買われにくい環境を作った可能性があります。
ただし、この点はあくまで円高の「背景の一つ」になった可能性がある、という程度であり、これだけで円高を説明できるわけではありません。
円高の3つの読み方
今回の円高ドル安は、単一の理由ではなく、次の3つの視点が重なって生じたと考えるのが自然です。
① 日米の金利差から読む円高
最も分かりやすいのが、日米の金融政策の違いです。
・アメリカでは利下げ局面が一服
・日本では、日本銀行が利上げ方向のスタンスを維持
結果として、短期的には日米の金利差がこれ以上拡大しにくくなり、円安圧力が弱まったと読むことができます。これは「円が強くなった」というより、円安を正当化していた理由が後退したという見方です。
② ドル安(ドルの相対的価値低下)から読む円高
今回のドル安の特徴は、ドル円だけでなく、ユーロやポンドなど他の通貨に対してもドル安が進んでいる点です。この場合、円高は、
・日本が特別に評価された
のではなく、
・ドル(米国)そのものが相対的に選ばれにくくなった
という側面を持ちます。
背景には、
・米国の政治・外交リスク
・財政運営への警戒
・金融政策の先行き不透明感
などがあり、「ドルを持ち続けるリスク」がやや意識されたと考えられます。
③ 調整・リスク回避局面としての円高
3つ目は、実務的に非常に重要な視点です。ここ数年の円安・ドル高は、かなり一方向に進んできました。
そこに、
・政治イベント
・要人発言
・金利の急変
が重なり、これまで続いてきた円安の流れが終わったというより、いったん様子を見るための一時的な調整が入ったとも考えられます。
円高は中長期で続くのか?
ここが、住宅ローンを考えるうえで最も重要なポイントです。
結論としては、
・現在は確かに短期的な円高局面
・しかし、中長期の円高トレンドに入ったと判断できる材料は乏しい
と見る方が妥当でしょう。
特に、アメリカのトランプ大統領の発言や行動に市場が振り回されている側面を考えると、為替が不安定になりやすい局面と捉えるのが現実的です。
円高と日銀の利上げ判断の関係
円高が進めば、
・輸入物価の押し上げは弱まり
・円安対策としての利上げ圧力は下がる
可能性はあります。
しかし現在の日本の政策金利は、いわゆる「中立金利」とはまだ大きな隔たりがあります。
そのため、
・利上げのスピードがやや緩やかになる可能性はあっても
・利上げを止める、まして利下げに転じるほどの圧力はない
というのが、冷静な見方でしょう。
実際、市場では年内に日銀が再度、政策金利を引き上げる可能性があるとの見方も出ています。賃金上昇や物価の持続性を根拠にすれば、十分にあり得ます。
ちなみに、昨年12月に日銀は政策金利を0.25%引き上げました。その影響として、現在の円高ドル安とは関係なく、住宅ローンの変動金利タイプは2月~3月に1%程度まで引きあがられる見込です。
住宅ローンは「相場」より「家計」で考える
ここまで見てきた通り、
・為替
・金利
・政治
はいずれも、短期的に大きく動きます。
しかし、住宅ローンは35年から40年、さらには近年では50年という長い時間をかけて返していくものです。一時のレートや金利に一喜一憂して決めるべきものではありません。
大切なのは、
・いまの金利が少し上がる・下がるかではなく
・自分たちの家計が、どの程度の変化に耐えられるのか
という視点です。
まとめ
今回の円高ドル安は、
・世界的な政治・経済の不安定さ
・日米金融政策の違い
・市場の調整
が重なった結果と見るのが自然です。
住宅ローンの金利は、日本の政治だけでなく、世界の動きとも無縁ではありません。だからこそ、金利や為替を「当てに行く」のではなく、自分たちの家計を基準に、無理のない住宅ローンを考えるという姿勢が、いま一層大切になっています。
🔗 過去の金利動向はコチラ
・2026年1月
https://my-home-fp.com/column/20260105/
・2025年12月
https://my-home-fp.com/column/20251201/
・2025年11月
https://my-home-fp.com/column/20251104/
・2025年10月
https://my-home-fp.com/column/20251001/
・2025年9月
https://my-home-fp.com/column/20250901/
・2025年8月
https://my-home-fp.com/column/20250801/
🔗 過去の関連記事はコチラ
・衆議院解散・総選挙へ 長期金利は27年ぶり水準、住宅ローン金利はどうなる?
https://my-home-fp.com/column/20260121/
・金利・価格・制度から読み解く 2026年の家づくり
https://my-home-fp.com/column/20260103/
・変動1%目前のいま フラット35で金利と安心を両立
https://my-home-fp.com/column/20251225/
・金利上昇時代にフラット35はどう変わる? 限度額アップ・借換え優遇・40年返済へ
https://my-home-fp.com/column/20251224/
・【速報】日銀が再び利上げ 変動金利は1%の時代へ
https://my-home-fp.com/column/20251220/
・円安&長期金利上昇 年末~来春の住宅ローン予想
https://my-home-fp.com/column/20251121/
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
マイホーム購入前に、中立な第三者にご相談を!
名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
https://my-home-fp.com/
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□







