住宅ローン 異例な動き? 楽天銀行が変動金利を下げた理由

この春は、各金融機関が住宅ローンの変動金利を相次いで引き上げ、ついに「変動金利も1%台が当たり前」の時代に突入した感が強まってきました。わたくし草野のところにも、住宅ローンを返済中の方からのご相談やお問い合わせが増えています。背景にあるのは、昨年12月の日銀による政策金利の引き上げです。市場では今後の追加利上げの可能性も意識されており、住宅ローンの変動金利にはなお上昇圧力がかかりやすい状況が続いています。

そんな中、先行して来月分の住宅ローン金利を発表した楽天銀行が、5月の変動金利を引き下げるという、少々意外な動きを見せました。他行が引き上げ方向にある中で、なぜ楽天銀行が逆の動きをしたのか。今回は、これまでの3月・4月の流れや他行の動きも踏まえながら、その背景と今後の見通しを整理してみたいと思います。

 


1.今回のポイント


先に結論から申し上げると、今回の楽天銀行の利下げは、住宅ローン全体の金利トレンドが反転したことを意味するものではありません。ポイントは次の3つです。
・楽天銀行の利下げは、変動金利全体の流れの転換ではない
背景には、銀行ごとの金利の決め方の違いがある
・そのうえで、他行より目立つ金利を打ち出せるという営業上のメリットも考えられる

つまり、今回の動きは「下がったから安心」と受け止めるよりも、なぜ楽天銀行がこのタイミングで下げられたのかを読み解くことのほうが重要です。

 


2.最近の変動金利を取り巻く環境


まず前提として、足元の住宅ローンを取り巻く環境を簡単に整理しておきます。

2025年12月、日銀は政策金利の誘導目標を0.5%から0.75%へ引き上げました。これを受けて、銀行の調達コストや短期金利に影響が及び、住宅ローン金利にもその波が広がり始めました。

そして2026年3月から4月にかけては、多くの金融機関で変動金利の見直しが進み、主要金融機関では「変動金利1%台」が一気に広がりました。固定金利もあわせて上昇し、「金利のある世界」への移行がいよいよ現実味を帯びてきたと言えます。

 


3.5月の楽天銀行とソニー銀行の動き


こうした流れの中で注目されたのが、5月適用分の住宅ローン金利です。

楽天銀行は、住宅ローンの変動金利を4月の1.378%から5月は1.333%へ、0.045ポイント引き下げました。あわせて基準金利も、4月の2.028%から5月は1.983%へと、同じく0.045ポイント引き下げています。つまり、優遇幅を広げたというより、「もとになる金利(基準金利)」自体が下がった影響をそのまま反映した形です。

一方、ソニー銀行は、5月の変動セレクト住宅ローンを4月の0.997%から1.347%へ、0.350ポイント引き上げました。ただし、ここで注意したいのは、ソニー銀行の変動金利は5月1日・11月1日が見直し基準日となっており、4月ではなく5月に動きやすい仕組みだということです。したがって、「楽天は下げた、ソニーは上げた」と表面的に比較するだけではなく、そもそもの見直しルールの違いも見ておく必要があります。

 


4.なぜ楽天銀行だけ下げてきたのか


今回の楽天銀行の動きを考えるうえで、まず押さえておきたいのは、楽天銀行の住宅ローン金利は他行と同じタイミング・同じ仕組みで動いているわけではないという点です。

楽天銀行は2025年1月から、住宅ローン金利の見直しを、それまでの年2回から毎月へ変更しました。楽天銀行自身も、この変更は「利上げ局面で有利にするため」というより、預金などの調達金利が1~2か月単位で動くなかで、より短い金利指標を参照するほうが望ましいためと説明しています。このように短い市場金利を参照して毎月見直す仕組みを採っている場合、他行よりも細かく、そして時には逆方向に動くことがあるのです。

そのうえで、営業戦略の面もまったく無関係とは言えないでしょう。ネット銀行はもともと店舗コストが低く、住宅ローンでは金利の見せ方が非常に重要です。他行が相次いで上げる局面で、楽天銀行が相対的に低く見える金利を提示できれば、新規借入や借り換えを検討している人の目を引きやすくなります。つまり今回の利下げは、まずは仕組み上の反映であり、その結果として競争力が高まったと見るのが自然ではないかと思います。

 


5.ここで注意しておきたいこと


ここは非常に大切なポイントです。

① 今回の利下げを「流れが変わった」と受け取らないこと
楽天銀行の5月金利は確かに目を引く水準ですが、今回の動きだけを見て「変動金利はまだ下がる」「もう安心だ」と判断するのは早計です。楽天銀行の利下げは、日銀の金融政策が転換したからではなく、同行独自の毎月見直しルールと参照金利の動きを反映した面が大きいと考えられます。

② 「一見低く見える金利」だけで判断しないこと
5月は下がったと言え、楽天銀行の1.333%は、他行と比べると決して特に低い水準とは言えません。また、住宅ローンは金利だけで決めるものではありません。手数料、団信の内容、繰上返済のしやすさ、今後の見直しルールなどを含めて見ないと、実際の負担感は変わってきます。特に借り換えでは、目先の金利差だけを見て動くと、思ったほどメリットが出ないこともあります。

③ 今後、再び引き上げられる可能性は十分あること
毎月見直しということは、下がることもあれば上がることもあります。今回下がったからといって、その水準が中長期で続くとは限りません。むしろ、日銀の追加利上げの可能性が意識されるなかでは、変動金利には今後も緩やかな上昇圧力がかかり続けると見ておくほうが自然でしょう。

 


6.今後の変動金利はどうなるのか


今後については、日銀の追加利上げの可能性が引き続き意識されるなかで、住宅ローンの変動金利は、中長期ではなお上向きの圧力を受けやすいと考えています。もちろん、月ごと・銀行ごとに見れば、楽天銀行のように一時的に下がる場面はあり得ます。しかし、それはあくまで個別の金利見直しルールや市場連動の違いによる一時的な動きであって、大きな流れそのものが反転したと見るのは難しいでしょう。

ですから、これから住宅ローンを選ぶ方や、借り換えを検討している方は、「いま一番低く見える金利」だけで判断しないことが大切です。各銀行の金利がどのようなルールで見直されるのか、その金利が今後どう動きやすいのか、さらに手数料や保障内容まで含めて比較していく必要があります。金利上昇局面では、表面金利の数字以上に、こうした“仕組みの違い”が効いてくるからです。

もし現在、住宅ローン選びの最中の方や、返済方法の見直し、借り換えをしたほうがよいかどうかでお悩みの方は、個別にご相談に乗りますので、どうぞお気軽に家計とマイホーム相談室までお知らせください。

 

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