住宅会社選び 良い住宅会社とは? 自分たちに合う住宅会社の選び方

先日、ライフプラン(マイホーム予算診断)を作成するためのヒアリングを行った際、ご相談者から住宅会社選びについて質問がありました。
「住宅会社は、どのように選べばよいのでしょうか」
「結局、どの住宅会社が良いのでしょうか」

これから家づくりを始める人にとって、共通する疑問の一つでしょう。インターネットで検索すれば、住宅会社のランキングや口コミ、性能比較など、さまざまな情報が出てきます。しかし、たくさん調べるほど、かえって何を基準に選べばよいのか分からなくなってしまう方も少なくありません。

そこで今回は、実際のご相談でお話しした内容をもとに、「自分たちに合う住宅会社」をどのように考えればよいのか、住宅と家計の両面を踏まえながら整理してみます。

 

 


1.住宅会社選びで最も大切なのは「自分たちに合うか」


住宅会社選びについてご相談を受けたとき、私はまず次のようにお伝えしています。
「良い住宅会社はたくさんありますが、すべての人にとって良い住宅会社はありません」

住宅会社を選ぶ際の決め手は、会社の知名度や売上規模、口コミの点数だけではなく、最終的には「その住宅会社が自分たちに合っているか」です。住宅会社には、それぞれ得意分野や家づくりに対する考え方があります。一方で、家を建てる家族にも、それぞれ異なる価値観や事情があります。その両者がうまく合えば満足度の高い家づくりにつながりますが、方向性が合っていなければ、どれほど評判の良い住宅会社でも、不満が残る可能性があります。

住宅会社選びは、単純な優劣の比較ではありません。自分たちの希望と住宅会社の特徴が合っているかを見極める「相性選び」なのです。

 


2.住宅会社によって特徴は大きく異なる


ひと口に住宅会社といっても、その種類や特徴はさまざまです。会社の業態や家づくりの担い手としては、主に次のような違いがあります。
・全国展開する大手ハウスメーカー
・地域に根差した地元工務店
・設計を中心に家づくりを進める建築家・設計事務所

さらに、分譲住宅や規格住宅を中心に扱う会社、ローコスト住宅を得意とする会社など、取り扱う商品や価格帯にも違いがあります。

それぞれの会社が扱う構造や工法も異なります。木造軸組工法、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などがあり、同じ木造住宅でも、柱や壁のつくり方、断熱方法、耐震設計の考え方などには違いがあります。

住宅会社が特に力を入れている分野もさまざまです。例えば、次のような特徴が考えられます。
・耐震性や耐久性など、建物の安全性を重視する会社
・断熱性や気密性、省エネ性能を重視する会社
・外観や内装など、デザイン性を重視する会社
・キッチンや浴室など、設備の充実を売りにする会社
・太陽光発電や全館空調など、住宅設備を得意とする会社
・間取りの自由度や設計提案を得意とする会社
・低価格を前面に打ち出す会社
・アフターサービスや長期保証を強みにする会社

どの特徴が優れているかという話ではありません。その特徴を、自分たちが必要としているかどうかが大切です。

 


3.住宅会社選びは車選びに似ている


住宅会社選びは、車選びに例えると分かりやすいでしょう。例えば、子育て中のファミリーであれば、荷物をたくさん積めて、子どもが乗り降りしやすいミニバンが、自分たちに合った車かもしれません。スライドドアがあり、室内が広く、家族での買い物や旅行にも使いやすい車です。子育て家庭にとっては、非常に便利でしょう。しかし、車を運転すること自体が好きで、走行性能を重視する人から見れば、ミニバンは車体が大きく、車高も高いため、走りに物足りなさを感じるかもしれません。

逆に、走ることにこだわる人であれば、車高が低く、空気抵抗が小さく、加速や操作性に優れたスポーツカーが向いているでしょう。ところが、そのスポーツカーを子育てファミリーが使えば、荷物をあまり積めず、子どもも乗り降りしにくいうえ、燃費や街中での取り回しにも不満を感じるかもしれません。

ミニバンとスポーツカーのどちらが優れているかを、一概に決めることはできません。大切なのは、使う人の家族構成や目的、好みに合っているかどうかです。

住宅会社も同じです。性能を最優先する人に合う会社と、デザインを最優先する人に合う会社は異なるでしょう。自由な設計を求める人と、価格や打ち合わせの分かりやすさを重視する人でも、合う会社は変わります。だからこそ、住宅会社を探す前に、まずは「自分たちは何を必要としているのか」を整理する必要があります。

 


4.最初に整理したい、住宅に求める条件と優先順位


住宅会社選びを始めると、多くの方が最初に具体的な住宅会社名を調べようとします。しかし、本来はその前に行うべきことがあります。それは、自分たちが家に何を求めているのかを明確にすることです。

例えば、住宅に求めるものとしては、次のような項目があります。
・地震や災害に対する安全性
・夏の暑さや冬の寒さを抑える断熱性
・光熱費を抑える省エネ性能
・キッチン、浴室、収納などの住宅設備
・太陽光発電、蓄電池、全館空調などの付加設備
・外観や内装のデザイン
・家事や子育てをしやすい間取り
・必要な部屋数や建物の広さ
・庭や駐車場などの屋外空間
・建築費や入居後の維持費、光熱費
・保証や定期点検などのアフターサービス

ただし、すべてを最高水準にしようとすれば、当然ながら予算も大きくなります。そのため、「欲しいもの」を並べるだけでは不十分です。何を優先し、何については柔軟に考えられるのかまで整理することが重要です。

例えば、外観のデザインには強くこだわりたい一方、設備は標準的なもので十分というご家族もいるでしょう。反対に、外観はシンプルでもよいので、断熱性や耐震性、空調設備には費用をかけたいというご家族もいます。建物を広くするより、通勤や通学に便利な土地を優先したい方もいれば、多少郊外でも、広い庭や駐車スペースを確保したい方もいます。

こうした優先順位が明確になれば、自分たちに合う住宅会社も探しやすくなります。

 


5.優先順位の原点は「家族のあり方」と「理想の暮らし」


住宅に求める条件の優先順位を考える際、その原点になるのは、将来に向けた家族のあり方や理想の暮らし方です。家は、単なる建物ではありません。毎日、食事をし、家族と話し、体を休め、子どもを育て、ときには仕事や趣味を楽しむ「暮らしの場」です。

そのため、住宅会社を選ぶ前に、次のようなことをご家族で話し合ってみるとよいでしょう。
・休日は家で過ごすことが多いのか、外出が多いのか
・家族が一緒に過ごす時間と、一人で過ごす時間をどう考えるか
・共働きを続けるのか、将来働き方が変わる可能性があるのか
・子どもの人数や、成長に伴う暮らしの変化をどう想定するか
・家事の負担をどのように減らしたいか
・在宅勤務や趣味のためのスペースが必要か
・将来、親との同居や介護の可能性があるか
・何歳頃まで、その家で暮らすつもりなのか

家族によって、暮らしやすい家の形は違います。広いリビングで家族が自然に集まる家が合う方もいれば、それぞれの個室を大切にした方が暮らしやすいご家族もいます。家事動線を最優先する方もいれば、眺望や庭とのつながりを重視する方もいます。

だからこそ、先に理想の暮らしを考え、それを実現しやすい住宅会社を選ぶという順番が大切なのです。

 


6.住宅会社の「強み」は、見方を変えると「制約」にもなる


住宅会社を比較する際には、各社の強みだけでなく、その裏側にも目を向ける必要があります。

例えば、標準仕様が充実している住宅会社は、一定の品質を確保しやすく、打ち合わせも進めやすいというメリットがあります。一方で、標準仕様から外れる要望が多い場合には、追加費用がかかったり、そもそも対応できなかったりする可能性があります。自由設計を得意とする会社は、希望を反映しやすい一方、選択肢が多いため、打ち合わせの手間や時間が増えることがあります。

また、高性能住宅を得意とする会社は、快適性や省エネ性を高めやすい一方で、その性能を実現するための仕様や設計上の制約が生じる場合もあります。価格を抑えた家づくりを得意とする会社は、予算内に収めやすい反面、設備や仕上げ、設計の自由度、アフターサービスなどを確認する必要があります。

これは、どの会社が良い、悪いという話ではありません。強みと制約は表裏一体です。自分たちが重視する部分に強みがあり、重視しない部分の制約を受け入れられる会社であれば、相性の良い住宅会社といえるでしょう。

 


7.営業担当者との相性だけで決めない


住宅会社選びにおいては、会社そのものとの相性だけでなく、営業担当者との相性も大切です。

知識や経験が豊富で、誠実かつ段取りも良いなど、営業担当者として優秀であっても、人として合う・合わないはあります。曖昧な表現を避け、理路整然と説明してくれる人を分かりやすいと感じる方もいれば、難しい話を感覚的な言葉や豊かな表現で伝えてくれる人の方が、話しやすいと感じる方もいるでしょう。

そういう点では、打ち合わせをしていて会話がかみ合い、遠慮なく質問や要望を伝えられる担当者であれば、相性が良いといえるかもしれません。

ただし、営業担当者の印象だけで住宅会社を決めるのは注意が必要です。特に注文住宅の場合には、営業担当者だけでなく、設計担当者、工事担当者、現場監督、職人、アフターサービス担当者など、多くの人が関わります。また、契約前の説明が丁寧でも、設計や工事の仕組みそのものが自分たちの希望に合っているとは限りません。

営業担当者との相性に加えて、次の点も確認しておきたいところです。
・希望する構造や性能を実現できるか
・設計の自由度や打ち合わせ方法は合っているか
・見積もりの内容が分かりやすいか
・追加費用が発生する条件が明確か
・工事中の品質管理や検査体制はどうなっているか
・引き渡し後の保証や点検体制はどうか
・担当者が異動・退職した場合でも対応できる組織か

担当者は大切ですが、担当者だけでなく、「会社として家づくりを支える仕組み」があるかを見る必要があります。

 


8.予算に合うかどうかも、重要な相性の一つ


自分たちに合う住宅会社を考える際、忘れてはいけないのが予算との相性です。デザインや性能が理想通りでも、建築費が家計に対して過大であれば、長く安心して暮らすことは難しくなります。

住宅会社によって、建物本体の価格だけでなく、標準仕様に含まれる範囲や、付帯工事、諸費用、追加工事の考え方が異なります。そのため、坪単価や当初の見積額だけで比較すると、判断を誤ることがあります。

住宅取得にかかる費用は、建物本体以外にも発生します。
・土地から購入する場合の土地代
・地盤改良費
・屋外給排水工事
・外構工事
・照明、カーテン、エアコン
・登記費用
・住宅ローンの事務手数料や保証料など
・火災保険料
・引っ越し費用
・家具や家電の購入費

さらに、入居後には固定資産税、火災保険料・地震保険料、修繕費、光熱費などもかかります。

住宅会社を選ぶときには、建物の魅力だけでなく、家計全体の中で無理なく取得し、維持できるかを確認することが必要です。「予算内で建てられるか」だけでなく、「建てた後も安心して暮らせるか」という視点が欠かせません。

 


9.住宅会社を探し始める前に「家づくりの成熟度」を確認する


自分たちが家に求めるものや、理想の暮らし方を整理するために、家計とマイホーム相談室では、オリジナルの「家づくり成熟度チェックシート」を作成しています。

これは、家づくりを始める前に、ご家族の希望や考え方がどの程度整理されているかを確認するためのツールです。住宅の性能や間取りだけでなく、家族の暮らし方、資金計画、土地選び、住宅会社選びなど、幅広い項目について考えるきっかけになります。私の著書『賢い人だけ知っている 後悔しない住宅購入52の法則』にも収録しています。

また、家計とマイホーム相談室の「マイホーム予算診断〈プラス〉」をお申し込みいただいた方には、資料としてお渡ししています。住宅展示場へ行く前や住宅会社に資料請求をする前に、ぜひ一度取り組んでみてください。

自分たちの希望や優先順位が整理されていれば、住宅会社から説明を受けたときにも、「この会社が自分たちに合っているか」を判断しやすくなります。

 


10.まとめ 良い住宅会社探しより、自分たちの基準づくりから


住宅会社には、それぞれ異なる特徴や得意分野があります。大手ハウスメーカーと地元工務店、木造と鉄骨造、性能とデザインのどれを選ぶべきかに、すべての人に共通する答えはありません。住宅会社選びで大切なのは、評判の良い会社を探すことよりも、自分たちがどのような暮らしをしたいのかを明確にし、その暮らしを実現しやすい会社を探すことです。

そのためには、まず家族の将来像や理想の暮らし方を話し合い、住宅に求めるものの優先順位を整理してみましょう。そして、建物の性能やデザインだけでなく、予算、設計の進め方、施工体制、保証やアフターサービスまで含めて比較することが重要です。

住宅会社の知名度や営業担当者の印象だけで選ぶのではなく、自分たちなりの判断基準を持つこと。それが、後悔の少ない住宅会社選びへの第一歩です。

 


よくある質問


Q1.大手ハウスメーカーと地元工務店は、どちらが良いですか?
一概には決められません。大手ハウスメーカーは、商品や施工体制、保証制度が一定程度標準化されており、全国的な知名度や一定規模の組織体制を持っています。一方、地元工務店は、設計や仕様の柔軟性、地域の気候や土地事情への理解、担当者との距離の近さなどが強みになることがあります。

ただし、大手ハウスメーカー同士でも特徴は異なり、地元工務店も会社によって技術力や体制には大きな違いがあります。会社の規模だけで判断せず、自分たちが求める家づくりに対応できるかを確認しましょう。

Q2.住宅会社は何社くらい比較すればよいですか?
最初から一社に絞るのではなく、特徴の異なる数社を比較するのが一般的です。ただし、多くの会社を見過ぎると、情報が増え過ぎて判断しにくくなります。

最初は特徴の異なる数社を見たうえで、具体的な打ち合わせや見積もりを依頼する会社は二~三社程度に絞ると、それぞれの違いを比較しやすくなるでしょう。会社数そのものよりも、同じ条件や要望を伝えたうえで比較することが大切です。

Q3.口コミや住宅会社ランキングは参考になりますか?
参考にはなりますが、それだけで決めるのは避けた方がよいでしょう。口コミは、担当者や支店、建築時期、地域、施主の期待などによって評価が変わります。また、ランキングの評価基準が、自分たちの優先順位と一致しているとは限りません。

口コミやランキングは候補を知るために使い、最終的には自分たちの希望、予算、担当者の説明、実際の建物、施工体制、保証やアフターサービスなどを確認して判断しましょう。

Q4.性能が高い住宅会社を選べば後悔しませんか?
性能は大切ですが、性能だけで満足度が決まるわけではありません。高い性能を確保しても、間取りが暮らしに合わなかったり、予算が家計を圧迫したりすれば、後悔につながる可能性があります。

また、断熱性能や耐震性能などの数値だけでなく、設計、施工精度、住まい方、設備の選び方や使い方なども、実際の快適性に影響します。性能、間取り、価格、デザイン、維持管理などを総合的に考えることが必要です。

 

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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
https://my-home-fp.com/
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