住宅ローン金利がまた大きく動いています。昨日6月1日に発表された各金融機関の金利を見ると、変動金利タイプは大きな動きが少ない一方で、固定金利タイプはかなり大幅な上昇となりました。SNSなどを見ても
「変動金利はまだ低いけれど、このまま選んでよいのか」
「固定金利は高くなりすぎて、もう選びにくいのではないか」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、2026年6月1日時点の住宅ローン金利動向を整理しながら、金利タイプ選びで何を重視すべきかをお伝えします。
1.今月のポイント 変動と固定で明暗
2026年6月の住宅ローン金利は、ひとことで言えば、「変動金利タイプは小休止、固定金利タイプは大幅上昇」となります。
変動金利タイプは、この春に各金融機関の利上げがある程度一巡したこともあり、6月は大きな動きが少なくなっています。一方で、固定金利タイプは、長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)が大きく上昇した影響を受け、フラット35や大手銀行の35年固定金利が一気に上がりました。
特に注目したいのは、次の3点です。
・フラット35が3%台に上昇した
・大手銀行の全期間固定金利タイプは3%台後半から4%台も目立つ
・変動金利タイプは1%前後で落ち着いて見えるが、今後の利上げリスクは残る
表面的には変動金利タイプの低さが目立ちますが、金利タイプ選びは「今どちらが安いか」だけで決めるものではありません。
2.変動金利タイプは据え置き
2026年6月1日時点で、変動金利タイプは大手銀行やネット銀行を中心に、概ね1%前後の水準で推移しています。
この春先は、昨年12月の日銀の利上げを受けて変動金利タイプを引き上げる金融機関が相次ぎました。しかし、利上げも一巡したので6月は目立った動きは少なめです。
そのため、住宅ローンを検討している方から見ると、
「変動金利は思ったほど上がっていない」
「固定金利との差がかなり大きい」
と感じやすい状況です。
ただし、ここで注意したいのは、変動金利タイプの金利が落ち着いて見えることと、今後も安心できることは別だという点です。変動金利タイプは、政策金利や金融機関の短期プライムレートなどの影響を受けます。いまはいったん止まっているものの、今後、日銀が追加利上げを行えば変動金利タイプにも再び上昇圧力がかかるでしょう。実際、メディアなどでは日銀は6月15日・16日に開催される金融政策決定会合で政策金利の引上げを決めるのではないかと予想されており、そうすれば変動金利は年内には再度0.25%程度利上げされる可能性があります。
3.固定金利タイプ フラット35は一気に3%台へ
大きく動いたフラット35
固定金利タイプの中でも今月特に大きく動いたのが、フラット35です。2026年6月のフラット35は、返済期間21年以上35年以下、融資率9割以下で3.21%、融資率9割超で3.32%となりました。前月から一気に0.5%上がり、いよいよ3%台に入った形です。これは、フラット35が現在の仕組み(団体信用生命保険を金利に含める形)になって過去最高の水準で、旧制度と条件を揃えて比較(団信保険料を含めて計算する)すると、およそ17年ぶりの水準(過去の金利推移を基に草野が試算)となります。
フラット35は、全期間固定金利タイプの代表的な住宅ローンです。そのため、長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)の動きの影響を受けやすくなります。2026年5月には、長期金利が一時2.8%まで上昇しました。これは約29年ぶりの高水準です。その影響が、6月のフラット35の金利に大きく反映されたと言えます。
ただし、フラット35については、単純に「高くなったから使えない」と判断するのは早計です。フラット35Sや子育てプラスなど、当初一定期間の金利引き下げが利用できる場合もあります。特に、住宅性能が高い住宅を建てる方や、子育て世帯などは、実際に適用される金利を確認したうえで比較することが大切です。
大手銀行の35年固定も大幅利上げ
フラット35だけでなく、大手金融機関の35年固定金利も大きく上がっています。
たとえば、2026年6月1日時点で見ると、みずほ銀行は前月の3.55%から3.88%へ、三井住友銀行は4.07%から4.40%へ、りそな銀行は3.78%から4.14%へと上昇しています。また、ネット銀行でも、auじぶん銀行は4.185%から4.635%へ、住信SBIネット銀行は3.289%から3.629%へ上昇しています。
こうして見ると、全期間固定金利タイプは、すでに3%台後半から4%台も珍しくない水準になっています。住宅ローンを借りる側からすると、かなり重たく感じる金利です。
ただ、金融機関側から見れば、将来の金利上昇リスクを長期間引き受けることになります。長期金利が上がっている以上、固定金利タイプが上がるのは自然な流れとも言えます。
4.金利上昇下で住宅ローンをどう選ぶか?
変動金利タイプの低さに目を奪われすぎない
ここまで固定金利タイプが上がると、どうしても変動金利タイプの低さが目立ちます。変動金利タイプが1%前後、全期間固定金利タイプが3%台後半から4%台となれば、毎月返済額の差もかなり大きくなります。家計への影響を考えれば、「変動金利タイプを選びたい」と感じるのは自然なことです。
ただし、変動金利タイプは、将来の金利上昇リスクを借りる側が負う住宅ローンです。今の金利だけを見れば有利に見えても、今後の政策金利の引き上げや、金融機関の金利見直しによって、返済額が上がる可能性があります。
変動金利タイプを選ぶこと自体が悪いわけではありません。むしろ、家計に余裕があり、金利上昇時にも対応できる方にとっては、有力な選択肢になります。大切なのは、「金利が上がらないことに期待して選ぶ」のではなく、「金利が上がることを想定したうえで選ぶ」ことです。
金利タイプは「損得」ではなく「家計の耐性」で選ぶ
住宅ローンの相談を受けていると、よく聞かれるのが、「変動金利と固定金利、どちらが得ですか?」という質問です。お気持ちはよく分かりますが、実はこの問いには、借りる時点では正確な答えがありません。なぜなら、変動金利タイプと固定金利タイプのどちらが結果的に得だったかは、返済が終わってみないと分からないからです。将来の金利がどう動くかは、誰にも正確には分かりません。
そのため、私は金利タイプを「損得」で選ぶことはおすすめしていません。むしろ考えるべきなのは、次の2点です。
1つ目は、家計が金利上昇リスクにどれくらい耐えられるかです。収入、支出、教育費、老後資金、車の買い替え、親の介護など、住宅ローン以外にも家計にはさまざまな支出があります。
2つ目は、住宅ローンという低金利で長期返済できる仕組みを、どこまで積極的に活かすかです。住宅ローンは、他のローンに比べると金利が低く、返済期間も長いうえ、住宅ローン減税も使え、団体信用生命保険で保障も付けられます。単に「早く返す」「金利を下げる」だけでなく、家計全体の中でどう使うかを考える必要があります。
つまり、金利タイプ選びは、金利だけを見て決めるものではありません。家計の将来を見通すライフプランの中で判断するものです。
5.変動金利タイプを選ぶなら、元本を減らせるメリットを見る
変動金利タイプを選ぶ場合のメリットは、当初の金利が低いことです。金利が低ければ、同じ返済額でも利息負担が少なくなり、その分、元本返済が進みやすくなります。
特に住宅ローンは、借入当初ほど元本が大きいため、低金利の恩恵は大きくなります。つまり、変動金利タイプを選ぶなら、「低い金利がずっと続くから得」と考えるのではなく、「金利が上がり切る前に、少しでも元本を減らせる」というメリットを見るべきでしょう。
ただし、その前提として、今後の金利上昇は想定しておく必要があります。たとえば、
・金利が1%上がった場合、2%上がった場合に、毎月返済額がどの程度増えるのか。
・教育費が増える時期と重なっても大丈夫か。
・ボーナス返済に頼りすぎていないか。
こうした確認をせずに、目先の金利だけで変動金利タイプを選ぶのは危険です。
6.固定金利タイプを選ぶなら、返済額を確定できる安心感を見る
一方、固定金利タイプを選ぶ場合は、6月時点ではどうしても金利の高さが気になります。
「もう少し前に借りておけばよかった」
「今から固定金利を選ぶのは遅いのではないか」
と感じる方もいるでしょう。
ただし、固定金利タイプの価値は、金利が低いことだけではありません。最大のメリットは、将来の返済額を確定できることです。今後さらに金利が上がったとしても、全期間固定金利タイプであれば、原則として借入時の金利が最後まで続きます。これは、家計管理の面では大きな安心材料です。特に、これから教育費が増えるご家庭、収入の変動が大きいご家庭、借入額が大きいご家庭では、金利上昇リスクを避ける価値は小さくありません。
もちろん、固定金利タイプを選べば、当初の返済額は高くなりやすいです。そのため、固定金利タイプを選ぶ場合は、「安心を買うためのコスト」として金利差を受け入れられるかが判断の分かれ目になります。
7.まとめ 金利はまだ上がる途上として考える
2026年6月の住宅ローン金利は、変動金利タイプが1%前後で落ち着く一方、固定金利タイプは大幅上昇となりました。特にフラット35が3%台に入り、大手銀行の35年固定も3%台後半から4%台が目立つようになったことで、住宅ローン選びはますます難しくなっています。
ただし、ここで大切なのは、「変動金利が安いから正解」「固定金利が高いから不正解」と単純に考えないことです。変動金利タイプには、低金利のうちに元本を減らせるメリットがあります。一方、固定金利タイプには、将来の返済額を確定できるメリットがあります。
どちらが良いかは、金利の予想だけでは決まりません。家計が金利上昇リスクにどれくらい耐えられるか。住宅ローンを、家計全体の中でどう位置づけるか。そこを確認したうえで選ぶことが大切です。
少なくとも、今の金利環境は「上がり切った後」ではなく、まだ「上がる途上」にあると考えておいた方がよいでしょう。住宅ローンを選ぶときは、目先の金利差だけで判断せず、ライフプランを描いたうえで、無理のない選択をしていきましょう。
FAQ
Q1. 2026年6月時点では、変動金利タイプと固定金利タイプのどちらがよいですか?
一概には言えません。変動金利タイプは当初の返済額を抑えやすい一方、将来の金利上昇リスクがあります。固定金利タイプは金利が高めですが、返済額を確定できる安心感があります。家計にどれくらい余力があるかで判断が変わります。
Q2. フラット35が3%台になったら、もう選ばない方がよいですか?
そうとは限りません。フラット35Sや子育てプラスなどの金利引き下げが使える場合、当初一定期間の負担を抑えられることがあります。民間銀行の全期間固定金利タイプと比較しながら判断する必要があります。
Q3. 変動金利タイプを選ぶ場合、何に注意すればよいですか?
今の金利が続く前提で考えないことです。金利が1%、2%上がった場合の返済額を試算し、教育費や老後資金への影響も確認しておきましょう。
Q4. 固定金利タイプは高すぎるように見えますが、選ぶ意味はありますか?
あります。固定金利タイプの価値は、将来の返済額を確定できることです。金利上昇時に家計が大きく揺さぶられることを避けたい方にとっては、安心を得る選択肢になります。
Q5. 住宅ローンは金利が低い金融機関を選べばよいですか?
金利は重要ですが、それだけでは決められません。事務手数料、保証料、団体信用生命保険、つなぎ融資、繰上返済のしやすさなども含めて比較する必要があります。
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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
https://my-home-fp.com/
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