リフォームやリノベーションをする前提で中古住宅を購入する際の、物件を選ぶポイントは何ですか?とのご質問がありました。ご結婚したばかりで、まだどのような家づくりをするかは未定ですが、草野が中古住宅を購入してリフォームを行うとお話ししたところ、先述のご質問が出てきました。前回に続き、中古住宅購入について書いてみたいと思います。
実際に、草野のご相談者でも中古住宅を購入してリフォームなりリノベーションをするという方は少なくなく、この数か月内でも引渡しを受けた方や現在物件探し中の方が何人もおり、本日もそんな方とお電話でやりとりもしました。そんな時に草野がチェックしている点は大きく三つあります。
一つ目は、建物の広さや間取りがご要望に合っているかということ。リノベーションともなれば間取り変更も伴う大規模な改修を行うことになるので、間取りなどどうとでもなるとも言えるのですが、いじる部分が減ればその分コストは下がります。ですので、収納など細かい部分はともかく、できるだけ現状の間取りを活かせる方がコスト面では有利ですし、構造的にも無理がないケースが多いでしょう。
二つ目は、間取りだけでなくキッチンや洗面、浴室といった住宅設備機器や、床、壁、天井や外壁といった仕上げ材が、どれだけ使えるといった点。仕上げ材のやり替えは間取りの変更に比べればコスト的には安いとはいえやる個所が増えればコストは上がりますし、屋根や外壁といった外回りや、キッチンなどの住宅設備機器の交換は、それなりにコストがかかります。人によっては見た目が気になったり、他人が使った設備機器に抵抗感のある人もいるので、使える・使えないに関わらず交換するというケースもあるでしょうが、その場合でもコストがどれくらいかかるのかを見極めないと、購入後のリフォーム・リノベーションが足らなくなる可能性もあります。
三つ目は、柱や基礎などの構造が使えるかということ。目に見えにくい場所のため、購入後にリフォームをしようと壁を剥がしたら想定外の傷みで、補修に高額な費用がかかるなんてことも起こり得ます。また、耐震性が足りず耐震改修を行ったり、断熱材が入っていないので断熱改修を行うという場合も、けっこうなコストがかかります。このあたり、単に住む分には支障が無くても、求める快適性や安全性の程度によっては、大幅にコストがかかる可能性もあります。また、住宅ローン減税などの税制優遇を使いたくても、築年数が20年(耐火建築物は25年)以上経っていると、耐震改修や既存住宅瑕疵担保保険を掛ける必要があり、そのための費用もかかる点にも注意が必要です。
といったところです。ポイントは、自分たちが家に何を求めるのかの要望や優先順位に照らして、検討している中古住宅がどれだけ希望条件に近いのかを判断することです。逆に、建物自体が築年数が古くて手直し箇所が多い等であっても、立地や環境などが気に入った場合もあるでしょう。そんな時は、リフォームもしくはリノベーションすることで希望の建物になるか、そしてその際の費用(リフォーム費用と購入価格の合計)で予算に納まるかを検証し、予算内に納まるなら検討の価値はあるでしょう。そこまでの検討をするなら、当然ネットなどの資料を見るだけではダメで、実際の建物を見てみる必要がありますし、できればホームインスペクターやリフォーム会社などの専門家にも見てもらう必要があります。土地だけでなく、建物の判断もしなければいけないという点で、土地単体の購入に比べて大変かつ難しいと言えます。
そういう時に頼りになりそうな専門家が不動産屋さんですが、実は、不動産会社はそういった手間を嫌う傾向にあります。手間ばかりかかってさっぱり契約してくれないうえ、万一建物に欠陥があったらクレームになる、という訳です。そんな苦労をするくらいなら、建物を解体して更地にして売ってしまおう、という発想になるのが、中古住宅の流通が活性化しない理由であったりします。ですので、中古住宅の売買に理解を示してくれる不動産会社探しというのも、中古住宅を購入してリフォーム・リノベーションをしようという時のポイントの一つとも言えます。
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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
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