いま家づくりをご検討中の方からも今後の金利動向はよくご質問を受けますが、世界的な金融引き締めの影響で日本の住宅ローンの金利も上がっています。5月の住宅ローンの金利が各金融機関から発表されましたが軒並み上がっています。この利上げ基調は2月から続けて4カ月目で、全期間固定や長期の期間固定だけでなく、金融機関によっては短期の期間固定まで上がってきています。例えば、全期間固定金利タイプのフラット35では、5月の最低金利は1.48%と先月から0.040%の利上げで、今年1月と比較すると1.30%だったところ0.18%の上昇となっています。
この金利上昇の原因は、冒頭で書いた通り世界的な金融引き締めにあります。ここ数年は新型コロナウイルスに対する経済対策として各国ともに金融緩和の一環として低金利施策をを行ってきましたが、コロナ禍も3年目に入って終息も近づきつつあるのとともに、各国ともに財政事情が厳しくなっているため、徐々に金融引き締めすなわち利上げの方向に舵を切りました。アメリカはすでに3月に利上げを始め今年中にあと数回利上げをする見込みとなっています。それに対して日本は経済・財政状況から利上げは時期尚早ということで、日銀が先月末に開催した金融政策決定会合でも金融緩和を継続することにし、長期の固定金利に影響を与える国債の利回りを抑えるために国債を無制限に買い入れる指値オペの実施も決定しました。
ただ、アメリカの利上げにより円を売ってドルを買う動きが出て、これが1ドル120円台後半の急激な円安に繋がっています。もともと日本円は安全資産と見なされ紛争や経済危機では円買い=円高になったものですが、今回のウクライナ危機では円買いよりも円売りとなっています。日銀の黒田総裁は円安で輸出に有利な円安が日本経済にプラスになると考えているようですが、輸入品の価格高騰というデメリットが出ているだけでなく、すでに海外に生産拠点を移した日本の製造業にとっては円安のメリットが出にくくなっています。日銀は当面円安の抑制よりも低金利の維持を優先するということで、長期金利(日本の10年モノ国債)の利回り0.25%という上限を死守する構えですが、諸外国の金融引き締め=金利差=円安圧力をどこまで抑え込めるかが焦点となります。長期金利0.25%の壁を維持できたとしても住宅ローンの金利の大幅上昇は防げても、この数か月間での大幅な利下げは期待しにくいでしょう。
なお、ここでの住宅ローンの金利は主に全期間固定金利タイプや長期の固定金利期間選択タイプのことで、景気と連動する変動金利タイプについては、当面上がることは無いでしょう。
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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
家計とマイホーム相談室 草野芳史
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