住宅ローン 2026年5月の住宅ローン フラット35急上昇、15年ぶり水準に

イラン情勢の影響などにより原油価格の上昇懸念が強まるなか、長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)は一時2.5%台まで上昇しました。住宅取得にとって向かい風が強まるなか、2026年5月の住宅ローン金利が各金融機関から発表されました。

そこで、2026年5月時点の最新動向を整理しながら、家づくり・住宅購入を考える方が何を基準に住宅ローンを判断すべきかを考えてみます。

 


1.今月のポイント


2026年5月の住宅ローン金利も上がっています。その上がり方をひと言でまとめると、「変動は想定通り、固定は想定以上」です。

変動金利は、2025年12月の日銀の政策金利引き上げを受け、この春にかけて各金融機関で進んできた利上げが、ほぼ一巡しました。もはや「変動金利=0%台後半」という感覚は過去のものになりつつあり、1%台を前提に考える時代に入りました。これは4月時点の記事でもお伝えしてきた流れの延長線上にあります。

その一方で、より注目すべきなのは固定金利です。とくにフラット35は、2026年5月の最も多い金利が融資率9割超で2.82%、9割以下でも2.71%となり、この数カ月で一気に水準が上がりました。固定金利を検討する方にとっては、「以前の感覚のままでは判断を誤りやすい局面」になってきました。

 


2.変動金利タイプ:利上げは一巡し、「1%台」の時代に


この春の変動金利は、ある意味では想定通りの動きでした。昨年12月の日銀の政策金利引き上げを受け、各金融機関は段階的に住宅ローンの変動金利を見直してきましたが、5月は出遅れていた金融機関も利上げに踏み切り、ほぼ出揃いました。

たとえば、手元で確認できた範囲では、
・イオン銀行 0.83% → 1.18%
・SBI新生銀行 0.73% → 1.08%
・ソニー銀行 0.997% → 1.347%
へと上昇しました。

この結果、現在の感覚としては、メガバンクでも0.9%台後半、ネット銀行でも1.0~1.3%台、地銀・信金では1.2~1.6%台がひとつの目安になってきました。まだ一部には1%を切る金融機関もありますが、それは“低い例外”として見るべきで、全体としては変動金利1%台が標準です。4月時点で私が「住宅ローンは金利のある世界に入った」と書いた流れが、5月にはさらに明確になったと言えます。

なお、楽天銀行では5月に変動金利を利下げしましたが(詳しくはコチラの記事)、これは全体の流れを変えるものではないでしょう。こうした個別の下げを見て「また低金利競争に戻る」と考えるのは早計です。むしろ、例外的な動きに惑わされず、大きな流れを見ることが大切です。

 


3.期間固定・全期間固定:短期から長期まで“はっきり上昇”


固定金利の上昇は、短期の期間固定から長期の全期間固定まで、全体として水準が上がっています。民間金融機関の全期間固定金利は、金融機関ごとのばらつきこそありますが、ボリュームゾーンは3%台後半から4%台といったところです。

もっとも、全国を一律に見るのではなく、地域の金融機関まで含めて探す余地はまだあります。地銀、信金、JAの中には、地域や取引条件によって3%を切る全期間固定が見つかることもあります。もちろん最近は固定金利商品そのものに消極的な金融機関も増えていますが、「固定を考えるならメガバンクかネット銀行だけ」という見方は、少しもったいないと思います。

ここで大事なのは、「固定か変動か」を商品性だけで決めないことです。買い手側から見れば、本当に重要なのはどちらが得かではなく、どちらが自分の家計と相性がよいかです。固定の数字が高く見えるほど、つい変動に心が傾きやすくなりますが、そのときこそ比較すべきは目先の金利差ではなく、将来の家計の耐久力です。

 


4.フラット35:異例ともいえる急上昇


今月、もっとも象徴的だったのは、やはりフラット35です。

2026年5月の最も多い金利(融資率9割超)は、
・フラット20 2.50%(前月2.17%)
・フラット35 2.82%(前月2.49%)
・フラット50 2.98%(前月2.64%)
と大きく上がりました。

特に、フラット35は4月の2.49%から+0.33%と大幅に上がっただけでなく、3月(2.25%)からだと+0.57%、半年ほど前の1.90%前後から見ると+0.9%超の上昇で、2011年以来15年ぶりの高い水準になりましたこれは大げさではなく、“異例の上がり方”と言っても良いでしょう。

これまでフラット35は、民間の長期固定と比べて「安すぎる」と言えるほど割安感がありました。年度末の需要期や制度面の追い風もあって、固定金利の中で有力な選択肢だったのですが、5月はその“異常な割安感”がかなり弱まり、本来の水準に近づいたと言えます。

 


5.なぜフラット35はここまで上がったのか 背景は長期金利の急騰


フラット35の上昇を理解するには、日本の長期金利、つまり10年国債の利回りを見る必要があります。4月30日には新発10年国債利回りが2.525%まで上昇し、1997年6月以来、約29年ぶりの高水準をつけるなど、3月上旬(2.06%)から2カ月ほどで0.4%程度の急騰となりました。固定金利タイプの住宅ローンは長期金利の影響を受けやすいため、この上昇がフラット35や民間の長期固定にそのまま波及した形です。

背景には、アメリカの金利上昇、原油高、円安進行によるインフレ懸念などがあります。さらに、イラン情勢などの地政学リスクがエネルギー価格や物価見通しを厳しくさせています。そのため、市場では「長期金利が簡単には下がりにくい」という見方が強まっていて、固定金利も高止まり、あるいはなお上がる可能性を意識せざるを得なくなっています。

ここで押さえておきたいのは、変動金利と固定金利は、上がる理由もタイミングも違うということです。変動金利は日銀の政策金利に引っ張られやすく、固定金利は市場の長期金利に引っ張られやすい。だからこそ、「日銀が据え置いたから安心」「変動が上がらないなら固定も大丈夫」と単純化しないことが重要です。

 


6.「割安なフラット35」は終わったのか?


では、フラット35はもう魅力がなくなったのか。私は、そう単純には見ていません

確かに、以前のような「民間固定よりかなり安い」という状態からは、だいぶ修正されました。ただ、それでもなお、民間の全期間固定が3%台後半から4%台にあるなかで、フラット35の中心水準が2%台後半にあることを考えると、固定金利の選択肢としての優位性は十分にあります

しかも、フラット35にはフラット35S子育てプラスなどの金利引き下げ制度があり、条件に当てはまる方にとっては、なお十分に有力な選択肢です。家づくりの性能や家族構成によっては、大きな差が出ます。

ここでの判断基準は、「フラット35がまだ得かどうか」だけではありません。むしろ、固定で返済額を確定させる価値を、いまの家計がどれだけ必要としているか多少金利が高くても、先の見通しが立つ安心を優先するべきか、その見極めです。商品比較だけではなく、暮らし方との相性で見ることが、これからはますます大切になります。

 


7.今後の焦点は、再び「変動金利の再利上げ」


5月時点で変動金利の利上げはひとまず出揃いましたが、次の焦点は明確です。それは、日銀が次にいつ政策金利を引き上げるかです。

4月28日の日銀の金融政策決定会合では、政策金利は据え置きとなりました(詳しくはコチラ)。が、今後、中東情勢が落ち着き、物価や景気の条件が日銀の追加利上げを後押しするなら、年内に再度の利上げが行われ、変動金利がさらに0.25%程度上がる可能性は十分あると見ています。逆に、情勢不安が続けば政策金利は動きにくくなるかもしれませんが、その場合でも原油高やインフレ懸念を通じて長期金利が高止まりし、固定金利の重さが残る可能性があります。つまり、買い手側から見れば、どちらに転んでも“金利は上がりやすい環境”です。だから住宅ローン選びは、これまで以上に「今月の金利」ではなく、将来にわたって環境がどうなっても返していけるかで考えるべきです。

 


8.まとめ:いまは「低金利を選ぶ」より「上昇に耐えられるか」を考える時代


2026年5月時点の住宅ローン市場は、変動金利では利上げが一巡し1%台が標準化、固定金利ではフラット35が想定以上のスピードで上昇、という局面になりました。

ここで大切なのは、「金利の高い・安い」「損か得か」だけで決めないことです。住宅ローンは、金利当てゲームではありません。本当に見るべきなのは、
・金利がさらに0.25%、0.5%上がっても家計は持ちこたえられるか
・教育費、車の買い替え、老後資金と返済がぶつからないか
・将来、繰上返済や借り換えの余地を残せるか
といった点です。これはFPの視点だけではなく、家づくりや不動産の現場を長く見てきた立場からも、強く感じるところです。住宅ローン選びは商品選びではなく、家計設計そのものです。

金利上昇が前提の時代に入ったいま、必要なのは「どのローンが正解か」ではなく、自分の家計にとって無理のない借り方は何かを見極めることです。その視点を持てるかどうかで、家づくりの安心感は大きく変わってきます。住宅ローン選びの際、「変動か固定か決められない」「どの銀行が良いのか迷う」なら、家計の原点ともいえる「ライフプラン(キャッシュフロー表)」の作成をお勧めします。あらためて、これからの家計や家族のあり方を見直すことで、自ずと自分たちに合った住宅ローンが見えてくるでしょう。

 

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2026年4月の住宅ローン 変動1%時代へ&フラット35大幅上昇
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変動金利1%がじわり拡大 2026年3月の住宅ローン
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総選挙・市場変動の影響は? 2026年2月の住宅ローン金利動向
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2026年1月の住宅ローン金利動向と、今年1年の見通し
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【2025年12月】三菱UFJが変動金利を利上げ! 住宅ローンの転換点を読む
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住宅ローン金利は「年末にかけてどう動く?」~日米金融政策から読み解く2025年11月の最新動向~
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