これまで3回にわたってご紹介してきた、
住宅取得資金の贈与税非課税制度の注意点。
今回で最終回です。
▼▼これまでの記事は下記▼▼
0.金額や贈与日だけでない 改正された住宅資金の贈与税特例にご注意!(12/18)
1.いろいろある改正後の注意点(1/11)
2.複数年に分けての贈与も対象に(1/12)
3.中古購入+リフォームがおトク!(1/13)
* * *
まずは、税務署発行の「住宅取得等資金の贈与税の非課税のあらまし」
2ページ目の非課税限度額に関する注意書きをご覧下さい。
『なお、平成28年10月1日以降に住宅用の家屋の新築等に係る契約
を締結して新非課税制度の適用を受ける場合の受贈者ごとの非課税
限度額は、上記1及び2の表の金額のうちいずれか多い金額となり
ます』
▼▼受贈者ごとの非課税限度額(上記あらましP2より)▼▼
これはどういうことかというと、この資料だけを読んでも分かりません。
その答えは、財務省から発行されている資料
「平成27年度税制改正の解説」に書いてありました。
それは「同一年中に一般住宅の購入とその住宅を良質な住宅になるよう
増改築した場合」、つまり、前回同様中古購入+リフォームのケース等です。
前回ご紹介したのは、下図の1のように
今年の9月30日までに中古住宅の売買契約を締結し、
今年10月1日以降にリフォームの契約をした場合。
この場合は、上記の表1と2の非課税枠がダブルで適用されます。
それに対して、今回ご紹介しているケースは、
図の2のように、売買契約とリフォームの契約を両方とも
今年の10月1日以降に締結した場合。
この場合は、契約日の要件を満たさないので、
ダブルでの適用はされません。
ただ、売主が個人の場合は消費税が非課税のため、
贈与税の非課税枠は上記の表1が適用され、
700万円(省エネ等住宅で1200万円)となります。
と同時に、リフォーム工事については
工事が平成29年3月31日までに完了しなければ
消費税率が10%になるため、非課税枠は表の2が適用されます。
つまり、消費税率が上がった分、非課税枠も
2500万(省エネ等住宅で3000万円)に拡充されます。
そこで表の1と2、どちらの非課税枠が適用されるかというと、
「いずれか多い金額」という訳なのです。
ということは、平成28年に中古住宅の売買契約を締結した場合、
一般住宅であれば非課税枠700万円のところ、
リフォームで省エネ等住宅にすれば一挙に3000万円になります!
中古住宅を購入しておおがかりなリフォームを検討中で、
かなりまとまった贈与を期待できる人には、嬉しい話ですよね。
ただし、中古住宅の売買契約からリフォーム工事の契約までに
時間がかかってしまい、契約年がずれてしまった場合は、図の3のように
先に契約した中古住宅売買の契約年の非課税枠が適用されてしまいます。
もし、リフォームを行って非課税枠を拡充したいなら、
売買契約を行った年内にリフォームの契約も行うようにして下さい。
* * *
・・・以上で、4回(昨年の記事も入れれば5回)にわたってご紹介した
住宅取得資金の贈与税非課税の特例の解説を終わらせていただきます。
ご覧の通り、非課税枠が拡大したうえ柔軟性も上がり、
家を建てる人にとっては、より有利になりました。
ただ、その分制度が複雑で分かりにくさも増したため、
制度を使いこなすには相応の知識も必要となっています。
(国の資料がもう少し分かりやすければ・・・)
今回の解説がご参考になれば幸いです。
なお、繰り返しになりますが、ここでご説明した内容は
財務省や国税庁の資料、税務署職員のお話をもとに
草野が解釈したもので、国の正式な見解ではありません。
万一誤りがあっても草野は責任を負いかねますので、特例を受ける際は
くれぐれもご自身で税務署などにご確認いただくようにお願いします。
また、もし内容の誤り等にお気づきになりましたら、
コメント欄等でお知らせいただけますと幸いです。
資金計画 住宅取得資金の贈与税非課税の特例の注意点(4) 中古購入+リフォームの補足
代表プロフィール
草野芳史(くさのよしふみ)
資格・役職等
CFP
住宅ローンアドバイザー
宅地建物取引士
公認ホームインスペクター(NPO法人日本ホームインスペクターズ協会)
(一社)マンション管理相談センター理事
金城学院大学非常勤講師
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