前回・前々回と、固定金利期間選択タイプのお話しをした中で、
当初の優遇期間が終了後、金利が上がる点にご注意を!と書きました。
でも、実は当初期間終了後に金利が上がらない
固定金利期間選択タイプの住宅ローンもあるのです。
(店頭基準金利が変わらなかった場合)
よくある固定金利期間選択タイプの住宅ローンは、
当初期間終了後の優遇幅が、当初固定期間よりも縮小されます。
でも、中には優遇幅がずっと変わらない=全期間同一の引下げ幅
という固定金利期間選択タイプの住宅ローンがあります。
これは、住宅ローンの用語で言うと、
前者が「当初期間引下げタイプ」、後者が「全期間引下げタイプ」
などと呼ばれています(銀行によって呼び方は違います)。
要は、返済当初の引下げ幅を大きくするのか、
返済期間全体を通して引下げを一律に行うのかの違いになります。
たいがいの銀行では、新規住宅ローンが獲得しやすいためか
当初期間引下げタイプが多くなっています。
当初期間引下げタイプの方が、当初支払う毎月の返済額が
低くなるからなのですが、逆に総返済額は上がる可能性があります。
例えば、3000万円を35年返済・10年固定金利タイプで借入れする際、
当初期間引下げタイプと全期間引下げタイプで比較してみます。
店頭基準金利が3.1%で当初期間終了後も一定だったと仮定し、
前者は当初10年間の優遇幅が▲1.7%で終了後の優遇幅が▲1.0%、
後者は全期間の優遇幅が▲1.5%とした場合。
下の図のように、前者の金利は当初10年間が1.4%で終了後が2.1%、
後者の金利は全期間で1.6%となります。
そして、繰上返済を全くしなかった場合の総返済額は
次の通りとなります(元利均等返済の場合)。
・当初期間引下げタイプ 約4026万円
・全期間引下げタイプ 約3919万円
ご覧の通り、差額は107万にものぼります。
ただ、だからと言って全期間引下げタイプが
絶対良いというワケでもありません。
例えば上記の条件のうち、借入額を2000万円、返済期間を25年にすると、
総返済額は次の通りで、差額は18万円まで縮まります
・当初期間引下げタイプ 約2445万円
・全期間引下げタイプ 約2427万円
さらに、借入額を1500万円、返済期間を15年に抑えてみると、
下記の通り、ついに逆転してしまいました。
・当初期間引下げタイプ 約1674万円
・全期間引下げタイプ 約1688万円
ですので、固定金利期間選択タイプの住宅ローンで、
当初期間引下げタイプと全期間引下げタイプのどちらを選べば良いかは、
条件によって全く変わってくるというワケです。
一般的には、返済期間が短いほど当初の低金利が活きる
当初期間引下げタイプが有利で、逆なら全期間引下げタイプが
有利になりますが、金利差や繰上返済の有無でも状況は変わってきます。
住宅ローンを選ぶ際には、ぜひ金融機関にそれぞれのタイプで
返済額のシミュレーションをしてもらうようにしましょう。
ただ、当初引下げタイプしか扱っていない金融機関も多いので、
もし全期間引下げタイプを希望する場合は、
扱っていることを条件に金融機関を探すようにして下さい。
※繰り返しになりますが、上記は店頭基準金利が当初期間と
その終了後で同一だった場合のシミュレーションであり、
店頭基準金利が変動した場合は異なる結果となります。
住宅ローン 固定金利期間選択タイプの“当初期間引下げ”と“全期間引下げ”
代表プロフィール
草野芳史(くさのよしふみ)
資格・役職等
CFP
住宅ローンアドバイザー
宅地建物取引士
公認ホームインスペクター(NPO法人日本ホームインスペクターズ協会)
(一社)マンション管理相談センター理事
金城学院大学非常勤講師
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