昨日7月1日、各金融機関から今月の住宅ローンの金利が発表されました。、固定金利タイプと変動金利タイプで、やや対照的な動きが見られます。フラット35など全期間固定金利タイプでは小幅な利下げが見られる一方、変動金利タイプでは日銀の利上げを受け、一部の銀行で金利上昇が始まりました。
「固定金利が下がったなら、金利上昇はもう落ち着いたのでは」と感じる方がいるかもしれません。でも、春から続いた急上昇がいったん一服したという面が強く、住宅ローン金利全体が低下局面へ戻ったとは言えません。
今回の記事では、2026年7月の住宅ローン金利動向と、その背景にある長期金利(10年国債の利回り)の動きや日銀の金融政策、今後の住宅ローン選びで確認したいポイントを整理します。
1.今月のポイント
・フラット35の最頻金利は、返済期間21~35年・融資率9割以下で年3.14%となり、前月から0.07%低下
・固定金利期間選択タイプや全期間固定金利タイプでも、利下げの銀行が多くみられた
・一方、変動金利タイプでは、PayPay銀行や楽天銀行などで利上げ
・日銀の政策金利引き上げは、今後も変動金利タイプの上昇要因になり得る
・金利が少し下がったことだけを理由に急ぐのではなく、金利がさらに上がった場合にも返済を続けられるかを確認することが大切
2.フラット35は年3.14%へ、小幅ながら4カ月ぶりに低下
2026年7月のフラット35は、返済期間21~35年・融資率9割以下・新機構団信付きの最頻金利で、年3.14%となりました。6月の年3.21%から、0.07%の利下げです。融資率9割超では、主な取扱金融機関で年3.25%となっています。
また、返済期間15~20年のフラット20は年2.82%、フラット50は年3.32%が最頻金利です。なお、子育て世帯や若年夫婦世帯、ZEHなどの住宅性能に応じた金利引下げ制度を利用できる場合は、当初一定期間の適用金利がさらに下がることがあります。
フラット35の推移を振り返ると、下記の通り春からの上昇スピードはかなり急でした(フラット35最頻金利返済期間21~35年・融資率9割以下)。
2026年3月 2.25%
2026年4月 2.49%
2026年5月 2.71%
2026年6月 3.21%
2026年7月 3.14%
4月から6月までの3カ月間で、フラット35は約1%上昇しました。今回の0.07%低下は、これから住宅ローンを借りる方にとって素直に歓迎できる動きです。
ただし、春からの急上昇分を取り戻したわけではありません。7月の利下げは、「固定金利が再び低金利時代へ戻った」というよりも、急上昇後の小休止と見る方が実態に近いでしょう。
3.長期金利の低下が、固定金利の利下げにつながった
固定金利期間選択タイプや固定金利タイプ、フラット35の金利は、主に長期金利(日本の10年国債の利回り)の影響を受けます。2026年5月には、長期金利が一時2.8%程度まで上昇しました。その後、6月に入ると2.6%台まで低下する場面があり、こうした動きが7月の固定金利タイプの利下げにつながったと考えられます。
背景には、国内外の金利上昇への警戒感がいったん和らいだことに加え、原油価格や中東情勢、米国の物価・雇用指標、米国長期金利の動きなどが影響しています。
ただし、日本の長期金利は依然として高い水準です。数年前のように、10年国債利回りがゼロ%近辺で推移していた時代とは、明らかに前提が変わっています。
また、住宅ローンの固定金利は、10年国債利回りとまったく同じように動くわけではありません。金融機関の資金調達コスト、競合他社との金利競争、融資の採算、金利決定日の市場環境なども影響します。そのため、「長期金利が下がったから、来月も住宅ローン金利が下がる」とは限りません。ここは、金利予想の難しいところです。
4.固定金利タイプは全体として低下傾向、ただし銀行ごとの差は大きい
7月は、固定金利期間選択タイプや全期間固定金利タイプで、前月より利下げとなった銀行が多く見られました。たとえば、主な金融機関の10年固定金利を見ると、次のような動きがあります。
・みずほ銀行:年3.45%から年3.40%へ
・りそな銀行:年3.745%から年3.615%へ
・三井住友信託銀行:年4.065%から年3.865%へ
・auじぶん銀行:年3.18%から年3.05%へ
・ソニー銀行:年3.772%から年3.655%へ
一方で、三菱UFJ銀行では10年固定金利が上昇しており、すべての銀行が同じ方向に動いたわけではありません。
住宅ローンを選ぶ際、「固定金利は今月下がった」「変動金利は今月上がった」という大きな傾向は参考になります。しかし、実際に比較すべきなのは、候補となる複数の金融機関の適用金利だけではありません。確認したいのは、次のような点です。
・団体信用生命保険の保障内容と上乗せ金利
・事務手数料・保証料などの諸費用
・繰上返済や一部繰上返済の手数料
・金利優遇を受けるための条件
・固定金利期間選択タイプなら、固定期間終了後の優遇幅
当初の金利だけで判断すると、後で意外な差が出ることもあります。特に金利上昇局面では、固定期間終了後の金利条件まで確認しておくことが重要です。
5.変動金利タイプでは、一部の銀行で利上げが始まる
7月は、変動金利タイプにも動きが出ています。特に目立つのは、PayPay銀行と楽天銀行です。わたくし草野が確認した新規借入向けの代表的な変動金利では、PayPay銀行は年0.98%から年1.33%へ、楽天銀行は年1.295%から年1.500%へ上昇しました。
PayPay銀行は、2026年7月1日から住宅ローン基準金利を引き上げています。すでに借入中の変動金利利用者については、金利見直しの基準日が年2回、4月1日と10月1日であり、7月1日の基準金利改定がすぐに返済額へ反映されるわけではありません。楽天銀行も、変動金利型住宅ローンの利用者に対して、金利変動リスクや返済額への影響について注意喚起を行っています。
ここで注意したいのは、新しく借りる人の適用金利と、すでに返済中の人の適用金利・返済額は、必ずしも同じタイミングで変わらないことです。変動金利タイプでは、一般に次の三つを分けて確認する必要があります。
・基準金利がいつ変わるのか
・自分の適用金利がいつ見直されるのか
・毎月返済額がいつ変わるのか
金融機関によってルールは異なります。「日銀が利上げしたから、来月から返済額が増える」とは限りませんが、反対に「まだ返済額が変わっていないから安心」とも言い切れません。
6.今後の動向
・日銀の利上げで、変動金利には上昇圧力が続く
日本銀行は、2026年6月16日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%程度へ引き上げることを決定しました。政策金利の引き上げは、銀行の短期的な資金調達コストや短期プライムレートに影響しやすく、変動金利タイプにとっては基本的に上昇要因です。日銀は、今後も経済・物価・金融情勢を見ながら、金融緩和の度合いを調整していく方針を示しています。
もっとも、日銀が追加利上げをいつ、どの程度行うかは決まっていません。物価が想定以上に上がれば利上げを急ぐ可能性がありますし、海外経済の悪化や株価下落、急激な円高などが起きれば、利上げを慎重に進めることも考えられます。
したがって、変動金利タイプを選ぶ際は、「今の金利が何%か」だけでなく、将来1%、2%程度上がった場合に、家計がどこまで耐えられるかを確認しておく必要があります。
・国債買入れの減額は、固定金利の急騰を抑える材料にも
日銀は6月の会合で、長期国債の買入れを段階的に減らしていく方針も決めました。ただし、2027年4月以降は月間2兆円程度の買入れを続ける予定としています。これは、日銀が国債市場への関与を急にゼロにするわけではない、という意味でもあります。
長期金利が急激に上昇した場合には、日銀が国債買入れの増額などを検討する余地も残されています。そのため、国債買入れの減額方針が、直ちに長期金利や固定金利の急騰につながるとは限りません。
ただし、日銀が長期金利を特定の水準に抑え込む政策(イールドカーブコントロール)へ戻ったわけでもありません。長期金利は、国内の物価・財政・国債需給だけでなく、米国金利や世界経済、地政学リスクなどの影響も受けながら、市場で決まっていきます。固定金利タイプを選ぶ方は、「日銀がいるから長期金利は上がらない」と考えるよりも、金利上昇が起きても返済額が変わらない安心に、どこまで価値を感じるかで判断する方が現実的でしょう。
7.住宅ローンを選ぶときに、今月確認したいこと
金利が動く局面では、「変動と固定のどちらが得か」という議論が目立ちます。しかし、住宅ローンに万人共通の正解はありません。大切なのは、家計の余裕、今後の教育費や働き方、貯蓄額、住宅購入後に残したい生活のゆとりまで含めて考えることです。
・これから住宅ローンを借りる方
住宅ローンの事前審査を通した時点の金利ではなく、原則として実際に借り入れる日の金利が適用されます。土地を先に購入し、建物完成まで数カ月から1年以上かかる場合は、今後の金利変動も資金計画に織り込む必要があります。特に全期間固定金利タイプを検討している方は、契約時・着工時・融資実行時のどの時点の金利が適用されるかを、早めに確認しましょう。
・すでに変動金利タイプを利用している方
まずは、慌てて借換えや固定金利への変更を考える前に、現在の適用金利、残高、残り返済期間、今後の返済額見直し時期を確認してみましょう。そのうえで、金利が1%上がった場合、2%上がった場合の返済額を試算し、ライフプランの中で家計に無理がないかを見ることが大切です。
金利上昇に備える方法は、固定金利タイプへの変更だけではありません。繰上返済用の資金を確保する、教育費のピークまでの家計を見える化する、住宅ローン以外の固定費を見直すなど、選択肢はいくつもあります。
8.まとめ:固定は小休止、変動は次の上昇局面へ
2026年7月の住宅ローン金利は、フラット35をはじめとする固定金利タイプで小幅な利下げが見られました。ただし、それは春からの急上昇が一服した面が大きく、固定金利が低位へ戻ったわけではありません。一方、変動金利タイプでは日銀の利上げを背景に、一部金融機関で金利上昇が始まっています。
これから住宅ローンを借りる方も、すでに返済中の方も、毎月の金利ニュースだけで判断せず、金利上昇への耐性を家計全体で確認することが大切です。
住宅ローンは、単なる借金ではなく、長期返済・低金利・団体信用生命保険・住宅ローン減税などの特徴を持つ金融商品です。その特性を活かしながら、ご自身の家計に合った借り方を考えていきましょう。
よくある質問
Q.フラット35が0.07%下がったなら、今月借りた方がよいですか?
金利だけを理由に急ぐ必要はありません。確かに7月は小幅な利下げですが、住宅購入では物件(土地・建物)や家計のバランスの方が、長い目で見れば重要です。ただし、すでに購入する住宅や借入時期が決まっている場合は、固定金利タイプの比較をあらためて行う良いタイミングでしょう。
Q.変動金利は、今後すべての銀行で上がりますか?
可能性はありますが、時期や上昇幅は銀行ごとに異なります。基準金利の見直し、優遇幅の変更、商品の販売戦略などが違うためです。また、新規借入の金利と、返済中の人の適用金利・返済額が変わる時期も異なります。ご自身の借入先の通知や返済予定表を確認しましょう。
Q.いまから全期間固定金利タイプを選ぶのは遅いですか?
遅いとは言えません。全期間固定金利タイプは、将来の返済額を確定させられることが最大の特徴です。変動金利タイプより当初金利は高くなりやすいものの、教育費や老後資金など将来の支出が見通しにくい家庭では、家計の安定性を高める選択肢になります。金利差だけでなく、安心に払うコストとして納得できるかを考えてみましょう。
※金利は2026年7月1日時点の代表的な条件によるもので、借入額、融資率、住宅性能、団体信用生命保険、取引条件などによって異なります。実際の借入時には、各金融機関の最新の適用条件をご確認ください。
※主な出典:住宅金融支援機構「フラット35」、日本銀行「金融政策決定会合」、各金融機関公表資料、家計とマイホーム相談室調べ。
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名古屋駅前の住宅専門ファイナンシャルプランナー
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