住宅ローン 9月の住宅ローン 三菱UFJと三井住友が変動金利を0.25%利上げ

このところ、「長期金利が約30年ぶりの高水準」「米国から日本の利上げを促す発言」といったニュースが相次いでいます。こうした金融市場や金融政策の動きは、住宅ローン金利にも大きく影響します。

そんななか、2026年9月の住宅ローン金利が各金融機関から発表されました。今月の大きな動きは、三菱UFJ銀行と三井住友銀行というメガバンク2行が変動金利を引き上げたことです。

今回のコラムでは、最新の住宅ローン金利の動向と今後の見通し、そして金利上昇局面で住宅ローンをどう選べばよいのかを解説します。

 


1.9月の住宅ローン金利のポイント


2026年9月の住宅ローン金利で、特に押さえておきたいのは次の4点です。
・三菱UFJ銀行と三井住友銀行が、変動金利をおおむね0.25%引き上げ
・地銀・信金にも、変動金利引上げの動きが広がっている
・長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)が約30年ぶりの高水準となり、固定金利も上昇
・今後も金利上昇の可能性はあるものの、「変動か固定か」は現在の金利差だけで決めない

今月は特に、6月に日銀が政策金利を引き上げた影響が、変動金利タイプの住宅ローンにも本格的に波及してきたことが大きなポイントです。

 


2.メガバンク2行が変動金利を0.25%引き上げ


2026年9月、メガバンクの三菱UFJ銀行と三井住友銀行が住宅ローンの変動金利を引き上げました。

三菱UFJ銀行の新規借入れの変動金利は、8月の年0.945%から9月は年1.195%へ、0.25%上昇しました。同行は2026年6月の日銀の利上げに伴う短期プライムレートの引上げを受け、9月1日から住宅ローンの変動金利の基準金利を見直しています。三井住友銀行でも、変動金利が前月からおおむね0.25%上昇しました。

ただ、この動き自体は突然起きたものではありません。日銀は2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げ、現在は無担保コール翌日物金利を1.0%程度で推移させる方針としています。変動金利タイプの住宅ローンは、短期プライムレートなど短期金利の影響を受ける商品が多いため、日銀が利上げしてから少し時間を置いて、住宅ローン金利にも影響が表れてきます。

つまり、今回の利上げは突発的なものというより、6月の日銀利上げの影響が、この秋にかけて具体的に表面化してきたと考えると分かりやすいでしょう。

 


3.地銀・信金にも変動金利の利上げが広がる


変動金利の引上げは、地銀・信金にも広がっています。私が毎月調べている東海地方の金融機関でも、9月はあいち銀行や東春信用金庫などで、変動金利が前月から0.25%程度上昇しています。

一方、9月時点では変動金利を据え置いている地銀・信金もあります。そのため、「どの銀行も一斉に0.25%上がった」という状況ではありません。これは金融機関や住宅ローン商品によって、「基準金利が変わる時期」「実際の適用金利が変わる時期」「毎月の返済額が変わる時期」などが異なるためです。

ただ、2026年6月の日銀利上げを受けた変動金利の引上げは、今後さらに広がる可能性があります。特に住宅ローンでは、4月や10月を基準金利の見直し時期としている金融機関も多いため、秋にかけてもう一段、変動金利の引上げが表面化する可能性には注意しておいた方がよいでしょう。

なお、すでに住宅ローンを返済中の方については、金利が上がったからといって、必ずしも翌月から返済額が増えるわけではありません。適用金利の見直し時期に加えて、「5年ルール」「125%ルール」の有無なども商品によって異なります。まずは、ご自身が借りている住宅ローンの契約内容を確認してみてください。

 


4.固定金利も上昇 長期金利の約30年ぶり高水準が背景に


では、「変動金利が上がるなら固定金利にすればよい」と考えればよいのでしょうか。残念ながら、そう単純でもありません。固定金利期間選択タイプや全期間固定金利タイプも、9月は全体として上昇しました。

背景にあるのが、長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)の上昇です。2026年9月1日には長期金利が一時3.0%に達し、1996年以来、約30年ぶりの水準となっています。日本国内の物価上昇や日銀の追加利上げ観測だけでなく、円安、財政への警戒、さらに世界的にインフレ懸念から国債が売られていることなど、さまざまな要因があります。

長期金利は、住宅ローンの固定金利に影響を与える代表的な指標の一つです。実際、三菱UFJ銀行では2026年9月の固定10年が年3.63%、全期間固定31~35年が年4.30%となっています。変動金利だけでなく固定金利も上昇しており、住宅ローンはまさに「金利のある世界」へ移行したと感じさせる状況です。

 


5.フラット35も3.46%へ それでも選択肢になるケースも


全期間固定金利タイプの代表であるフラット35も上昇しました。2026年9月のフラット35は、返済期間21~35年、融資率9割以下、新機構団信付きの最頻金利が年3.46%。8月の年3.29%から0.17%上昇しました。「3%台半ば」と聞くと、かなり高く感じる方も多いでしょう。

ただ、ここでフラット35を金利だけで候補から外す必要はありません。フラット35Sや子育てプラスなどの金利引下げメニューを組み合わせることができ、例えば合計4ポイント(1ポイント=年0.25%の引下げ)の金利引下げを受ける場合、年1.0%が引き下げられます。

2026年9月の場合は、当初5年間が年2.46%、6年目以降が年3.46%です。住宅金融支援機構も、この条件を2026年9月の代表例として紹介しています。3%台後半から4%台、中には5%台まで上昇している民間金融機関の全期間固定金利タイプと比べ、依然、フラット35には長期固定として相対的な割安感があります。

特に、これから30年、35年と長期間返済が続くなかで、金利が変わることに不安を感じる方にとっては、金利上昇局面でもフラット35は有力な選択肢の一つでしょう。

 


6.住宅ローン金利はこれからどうなる?


今後の住宅ローン金利を考えるうえでは、日銀の金融政策が大きなポイントになります。まず注目されるのが、2026年9月17日・18日に予定されている次回の日銀金融政策決定会合です。9月2日時点では、市場で追加利上げへの警戒が強まっています。植田和男日銀総裁も9月2日、今月の金融政策決定会合で経済や物価のリスクを点検すると述べ、追加利上げの可能性を排除しませんでした。

こうした追加利上げ観測の背景には、日本国内の物価や円安だけでなく、米国側から日本の金融政策正常化を求める発言が強まっていることもあります。米財務長官のベッセント氏は8月末、日本が円高につながる政策対応を取るとの見方を示したうえで、9月1日には植田日銀総裁との会談で、円安やインフレに対応するため「断固とした金融政策対応」を求めたとReutersが報じています。米国側から、日銀の金融政策に対する具体的な言及が強まっています。

ただし、だからといって「アメリカに言われたから日銀が利上げする」というほど単純な話でもありません。日銀はあくまで、日本国内の物価や賃金、景気などを踏まえて金融政策を判断します。米国からの発言や為替市場の動きは、その判断を取り巻く外部環境の一つとして見る必要があります。

また、9月に実際の追加利上げが見送られたとしても、それだけで住宅ローン金利が下がるとは限りません。市場が「近いうちに次の利上げがある」と予想すれば、国債が売られて長期金利が上昇し、それを受けて固定金利タイプの住宅ローンが先に上がることがあります。

一方、変動金利タイプは、日銀による政策金利の変更後、金融機関の基準金利見直しなどを経てから動くケースが多くなります。つまり、固定金利と変動金利では、上がる理由もタイミングも同じではないのです。この違いを理解しておくと、毎月の住宅ローン金利の動きも見やすくなります。

 


7.「変動か固定か」を今の金利差だけで決めない


ここまで金利上昇の話をしてきましたが、だからといって「これからは固定金利が正解」ということではありません。2026年9月時点でも、多くの金融機関では変動金利タイプの方が固定金利タイプより低く、当初の返済額を抑えやすいというメリットがあります。一方、変動金利タイプでは、今後さらに金利が上昇すれば返済負担も増えていきます。

そこで、
「固定金利は3%台だから高すぎる」
「変動金利が1%台ならまだ大丈夫」
「これから金利が上がりそうだから固定にしよう」
といった具合に、現在の金利や将来予想だけで決めるのはおすすめしません。

住宅ローンは30年、40年と返済が続きます。その間には、子どもの教育費が増えたり、働き方が変わって収入が減ったり、退職を迎えたりすることもあるでしょう。重要なのは現在の金利だけではなく、もし変動金利がさらに0.5%、1%上がったときにも、家計が無理なく返済を続けられるかを確認することです。

逆に、ある程度金利が上がっても家計に十分な余力があり、手元の資金も確保できているのであれば、変動金利タイプを選ぶ考え方もあります。また、固定金利タイプには金利変動リスクを抑えられる代わりに、現時点では変動金利より高い金利を負担するという面があります。

「変動金利が今後、フラット35の3%台半ばまで上がるとは考えにくい」と感じる方もいるでしょう。ただ、住宅ローンは借入時に選んだ金利タイプを、必ず完済まで続けなければならないわけではありません。将来、金利動向や家計の状況が変われば、借換えを検討することもできます。そのため、例えば現時点では金利上昇リスクを抑えるためフラット35を選び、将来、金利や家計の見通しが立ってきた段階で、改めて住宅ローンを見直すという考え方もあります。

つまり、住宅ローン選びは単純な「損得比較」ではなく、将来の金利変動リスクを借り手がどこまで引き受けるかという選択でもあります。

住宅ローン選びで大切なのは、金利の予想を当てることではありません。ライフプラン(キャッシュフロー表)を作り、将来の収入や教育費、老後資金なども含めて、金利が動いたときに家計がどこまで耐えられるのかを確認したうえで、自分たちに合った住宅ローンを選ぶことです。

 


8.まとめ 金利上昇時代は「予想」より「耐性」を


2026年9月は、三菱UFJ銀行と三井住友銀行が変動金利を引き上げ、地銀・信金にも利上げの動きが広がっています。一方、長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)は約30年ぶりの高水準まで上昇し、固定金利期間選択タイプや全期間固定金利タイプ、フラット35も上昇しています。

さらに9月には日銀の金融政策決定会合が控え、物価や円安、長期金利、米国側からの発言など、今後の金利を左右する材料も少なくありません。

ただ、住宅ローンは「これから金利が上がるから固定」「まだ変動の方が安いから変動」といった二者択一で考えるものではありません。金利の先行きを正確に予想することは、専門家でも困難です。

だからこそ、予想よりも、自分の家計が金利上昇にどこまで耐えられるかを確認することが重要です。そのうえで、変動金利タイプ、固定金利期間選択タイプ、全期間固定金利タイプのどれが自分たちの家計や考え方に合っているのかを考えてみてください。

 

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家計とマイホーム相談室 草野芳史
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