日銀が9月に政策金利を1.25%程度へ引き上げ、長期金利も約30年ぶりの高水準となるなか、2026年10月の住宅ローン金利が発表されました。変動金利タイプの上昇が注目されていますが、実はそれ以上に大きく動いているのが固定金利です。今回は、短期金利と長期金利の両面から、住宅ローンに何が起きているのかを見ていきます。
1. この記事のポイント
2026年10月の住宅ローン金利は、ひと言でいえば「変動金利と固定金利の両面上昇」です。
- 変動金利タイプは多くの金融機関で上昇。ただし、据え置きから0.6%程度の引き上げまで対応には差がある
- 変動金利上昇は返済中の方にとってショックの大きい動きだが、6月の日銀利上げ以降の流れから見れば、ある意味では「想定内」
- 一方、フラット35は3.46%から3.83%へ0.37%上昇。2026年1月の2.08%からは、わずか9カ月で1.75%も上がった
- 背景には日本だけでなく世界的な長期金利上昇があり、固定金利タイプが近いうちに大きく下がることを前提にはしにくい
- 9月の日銀追加利上げの影響は、これから新規借入金利や既存利用者の適用金利に表れる金融機関もあり、2027年の年明け以降、変動金利がさらに上がる可能性がある
変動金利だけを追うのではなく、住宅ローン市場全体で何が起きているのかを見ることが大切です。
2. 10月の住宅ローンは「変動・固定の両面上昇」
2026年9月18日、日銀は金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げ、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移させる方針を決めました。1.25%への変更は9月24日から適用されています。
住宅ローンへの影響を考えるときには、「短期金利」と「長期金利」を分けて見る必要があります。一般的に、変動金利タイプは政策金利や短期プライムレートなど短期金利の影響を受けやすく、固定金利期間選択タイプ、特に10年など比較的長い固定期間や全期間固定金利タイプは、長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)など市場の長期金利の影響を受けやすくなります。
つまり今回は、短期金利の上昇によって変動金利が上がる一方、長期金利の上昇によって固定金利も上がる「両面上昇」となっています。
2026年10月1日時点では、長期金利は3%を超える約30年ぶりの高水準にあります。さらに海外でも国債利回りが上昇しており、日本だけでなく世界的に長期金利へ上昇圧力がかかっています。
住宅ローン金利を見るときも、いまは「日銀が利上げしたから変動金利が上がった」という一方向だけでは捉えにくくなっています。
3. 変動金利の上昇はショック。でも、ある意味「想定内」
今月、特にニュースになっているのが変動金利タイプの引き上げです。実際に変動金利タイプで住宅ローンを返済している方にとって、「また金利が上がる」というニュースはショックでしょう。これから住宅ローンを組もうとしている方にとっても、少し前までの「変動金利なら1%未満」というイメージからは、ずいぶん状況が変わりました。
ただし、金融政策の流れから見ると、今回の上昇自体は、ある意味では「想定内」とも言えます。
当相談室が2026年10月1日時点で調べた大手銀行の新規借入金利を見ると、所定の条件を満たした場合の一例として、みずほ銀行は1.275%となり前月から0.25%上昇、りそな銀行は1.250%と0.30%上昇しました。一方、9月に先行して引き上げていた三菱UFJ銀行は1.195%、三井住友銀行は1.525%で据え置き。三井住友信託銀行は1.08%から1.70%へ0.62%上がるなど、金融機関によって対応にはかなり差が出ています。また、auじぶん銀行でも、当相談室で比較している商品では前月から0.6%程度の大幅な引き上げとなりました。
このように、必ずしも「日銀が0.25%上げたから、すべての住宅ローンが一律に0.25%上がる」というわけではありません。各金融機関で基準金利を変更する時期や優遇幅、資金調達の方法、住宅ローンの商品戦略などが異なるためです。今後は単に「変動金利が何%か」だけではなく、金融機関ごとの金利改定の時期や上げ幅にも注意が必要です。
4. 10月の上昇は6月利上げ分が中心、9月利上げ分の影響はこれから
今回、多くの金融機関で変動金利タイプが0.25%前後上昇した背景には、2026年6月に日銀が政策金利を1.0%程度へ引き上げたことがあります。
政策金利が上がっても、翌日からすべての住宅ローン金利が上がるわけではありません。金融機関が短期プライムレートや住宅ローンの基準金利を見直し、その後、新規借入金利や既存契約者の適用金利へ順次反映されるため、一定のタイムラグがあります。そのため、2026年10月の変動金利上昇は、多くの金融機関では6月の日銀利上げの影響が中心と考えてよいでしょう。
ただし、9月の日銀利上げ分がまったく反映されていないわけでもありません。例えば、ドコモSMTBネット銀行は9月18日の日銀の決定を受け、10月1日から短期プライムレートを2.675%から2.925%へ0.25%引き上げています。
つまり、日銀の利上げが住宅ローンへ反映されるタイミングは金融機関によって異なります。9月の政策金利引き上げの影響が、新規借入金利や既存利用者の適用金利として、2027年の年明けから春にかけて表面化する金融機関も出てくる可能性があります。
なお、現在変動金利タイプを返済中の方は、「適用金利が上がること」と「毎月の返済額がすぐ上がること」は必ずしも同じではない点にも注意が必要です。元利均等返済では、返済額を5年間据え置く「5年ルール」や、見直し後の返済額を従来の125%以内に抑える「125%ルール」を採用している商品もあります。ただし、こうしたルールのない金融機関や商品もあるため、自分の住宅ローンの仕組みを確認しておきましょう。
いずれにしても、「10月に上がったから、これでしばらく変動金利の利上げは終わり」と考えるのは少し早そうです。
5. 変動金利の陰で、むしろインパクト大なのがフラット35
変動金利の引き上げはニュースになりやすいのですが、私が2026年10月の住宅ローン金利を見て、むしろ大きな変化だと感じるのがフラット35です。
返済期間21~35年、融資率9割以下、新機構団信付きのフラット35の最頻金利は、9月の3.46%から10月は3.83%へ上昇しました。わずか1カ月で0.37%の引き上げとなり、2017年10月以降の新機構団信付き金利として過去最高を更新しています。
さらに今年の初めから振り返ると、その上昇幅は一段と目立ちます。2026年1月 2.08% → 2026年10月 3.83%と、わずか9カ月で1.75%も上昇しました。
変動金利タイプが0.25%程度上がったことは、住宅ローン返済中の方にとって決して小さな話ではありません。ただ、「今年、住宅ローンのどの金利タイプが大きく動いたのか」という視点で見ると、実はフラット35をはじめとする長期固定金利タイプの上昇の方が、はるかに大きなインパクトがあります。
例えば4,000万円を35年返済、元利均等・ボーナス返済なしで単純計算すると、金利2.08%なら毎月返済額は約13.4万円ですが、3.83%なら約17.3万円となり、月々約3.9万円の差になります。
もちろん、これは同じ条件で金利だけを変えた単純比較です。実際のフラット35には「子育てプラス」や「フラット35S」などの金利引下げ制度があるため、この差がそのまま実際の負担になるわけではありません。それでも、この9カ月間の金利上昇が住宅購入予算に与える影響の大きさは分かるでしょう。
6. なぜ固定金利はここまで上がっているのか
固定金利タイプが大きく上昇している背景には、長期金利の上昇があります。2026年9月末から10月初めにかけ、長期金利(日本の10年モノ国債の利回り)は3%を超える水準まで上昇しています。ただし、これは日本だけの話ではありません。
米国では10年国債利回りが10月1日に一時5.34%まで上昇し、2002年以来の高水準となりました。フランスや英国などでも国債利回りが数十年ぶりの水準に達しています。背景には、原油などエネルギー価格の上昇によるインフレ懸念、各国の財政赤字や国債発行の増加、中央銀行の金融引き締め、さらにAIやデータセンター投資などに伴う世界的な資金需要の拡大など、複数の要因があります。
つまり、現在の固定金利上昇は「日銀が9月に利上げしたから」というだけではありません。国内外で長期資金の調達コストそのものが上昇していると見る方が実態に近いでしょう。
なお、固定金利タイプが長期金利とまったく同じように動くというわけでもありません。民間金融機関では資金調達コストや商品戦略なども金利設定に影響しますし、フラット35も住宅金融支援機構の資金調達などを通じて金利が決まります。それでも、市場の長期金利が上昇すれば、固定金利タイプには上昇圧力がかかりやすくなります。
もちろん、今後、景気が急速に悪化したり、インフレが収まったりすれば、長期金利が下がる可能性はあります。ただ、2026年10月時点では「しばらく待てば固定金利がすぐ元の水準へ戻る」という前提で住宅ローンを選ぶのは難しい状況だと、私は見ています。
7. フラット35は3.83%でも、民間の固定金利より低いことも
フラット35が3.83%と聞けば、「もう固定金利は高くて使えない」と感じる方もいるかもしれません。しかし、ここでも金利は相対的に見る必要があります。民間金融機関の全期間固定金利タイプも大きく上昇しており、2026年10月1日時点では、35年前後の全期間固定で4%台の商品が多く、金融機関や返済期間、商品によっては5%台となるケースもあります。
当相談室が10月1日に調べた金利でも、35年前後の全期間固定金利タイプは、みずほ銀行が4%台前半、りそな銀行が4%台半ば、三井住友銀行などでも4%台後半となる商品が見られます。もちろん、適用金利は借入期間や融資率、利用するプランなどで異なります。
つまり、フラット35そのものはかなり上がったものの、民間の長期固定金利も同じように上昇しており、3.83%という数字だけを見て「割高」とは言い切れません。
さらにフラット35には、「子育てプラス」「フラット35S」など、一定期間の金利を引き下げる制度があります。条件によっては複数の金利引下げ制度を組み合わせられるため、実際に適用される金利で比較する必要があります。
したがって、「フラット35は3.83%だから高い」「変動金利は1%台だから得」と表面金利だけで比較するのではなく、将来の金利変動リスクや家計の安定性まで含めて判断することが大切です。
8. これから住宅ローンをどう選ぶ?
変動金利タイプは上がっている。でも、固定金利タイプはもっと高い。そうなると、「結局どちらを選べばよいの?」となりますよね。残念ながら、今まで以上に万人共通の答えはありません。
変動金利タイプを選べば、2026年10月時点では全期間固定金利タイプより低い金利で借りられるケースが多い一方、今後さらに金利が上がる可能性があります。一方、全期間固定金利タイプなら借入後の市場金利が上がっても返済額は変わりませんが、現在の金利水準はかなり高くなっています。
ですから、重要なのは「これから金利が上がるか下がるかを当てること」ではなく、仮に予想と違う方向へ動いても、家計が持ちこたえられるかです。
住宅ローンを考える際には、現在の金利だけでなく、借入額や返済期間、手元に残す預貯金、今後の教育費、老後資金、収入の変化などを含めたライフプラン(キャッシュフロー表)で確認してみることをお勧めします。
特に現在は、「変動金利が上がったから固定金利へ」という単純な考え方も取りにくくなっています。固定金利もすでに大きく上昇しているからです。住宅ローン選びは「どの金利タイプが得か」より、どのような金利環境になっても無理なく返せるかという視点が、これまで以上に重要になっています。
9. まとめ 変動金利だけでなく固定金利の動きにも注目を
2026年10月の住宅ローンは、短期金利上昇で変動金利タイプが上がり、世界的な長期金利上昇で固定金利タイプも上がるという「両面上昇」となりました。
変動金利タイプの上昇は、現在返済中の方にとっては不安やショックを感じるニュースでしょう。ただ、6月以降の日銀の金融政策や各金融機関の動きを見ていれば、今回の0.25%前後の上昇は、ある意味では想定されていた動きでもあります。
一方、変動金利上昇のニュースの陰に隠れがちですが、今年もっと大きく動いているのは固定金利です。フラット35は1月の2.08%から10月には3.83%まで上昇しました。
そして、9月の日銀追加利上げの影響は、2026年10月時点ですべての金融機関、すべての利用者に出尽くしたとは言えません。2027年の年明け以降、変動金利タイプがもう一段上がる金融機関が増える可能性もあります。
金利が上がると、「少しでも低い金利を探さなければ」と思いがちです。しかし、本当に大切なのは、将来金利が想定以上に上がっても無理なく返済を続けられる住宅予算にしておくことです。住宅ローンだけを見るのではなく、家計全体を見ながら判断していきましょう。
10. FAQ 2026年10月の住宅ローン金利
Q1. 変動金利タイプはこれからも上がりますか?
9月に日銀が政策金利を1.25%程度へ引き上げた影響が、今後さらに住宅ローンへ反映される可能性があります。ただし、金融機関によって基準金利の見直し時期や優遇幅が異なるため、すべての金融機関が同じ時期に一律0.25%上げるとは限りません。
Q2. 今から住宅ローンを組むなら固定金利タイプの方が安全ですか?
全期間固定金利タイプなら、借入後に市場金利が上昇しても返済額が増えないメリットがあります。一方で、2026年10月時点の固定金利自体がかなり高くなっています。家計に余裕があり金利上昇に対応できるなら変動金利タイプが選択肢になる場合もあるため、金利だけで決めないことが大切です。
Q3. フラット35が3.83%なら、もう利用するメリットは少ないですか?
一概には言えません。民間金融機関の長期固定金利も上昇しており、フラット35より高い商品もあります。また、「子育てプラス」「フラット35S」などの金利引下げ制度を利用できる場合もあるため、表面上の3.83%だけではなく、実際に適用される金利や諸費用まで含めて比較する必要があります。
Q4. すでに変動金利タイプで借りています。固定金利へ借り換えた方がよいですか?
借入残高、残りの返済期間、現在の適用金利、借り換え後の金利、諸費用、家計の余力などによって異なります。金利上昇だけを理由に慌てて借り換えるのではなく、まず「この先さらに1%程度金利が上がった場合、返済額や家計がどうなるか」を試算したうえで判断するとよいでしょう。
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